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第119話 再会

11ー3 再会 翌日の早朝、俺は、そっとベッドを抜け出すと船の脇に結わえ付けられている小舟を海面へと下ろそうとした。 だって。 絶対に、アメリに、会いたいから! 会わなければ、きっと、後悔するにちがいなかった。 だけど。 俺は、きつく縛られたロープを解くことができずにいた。 あれ? 俺は、すごく焦っていた。 急いでるのに、なんで、このロープを解くことができないんだ? 俺は、泣きながら、指先に血が滲むのにもかかわらず、ロープを解こうとした。 「貸してみろ」 後ろから手が伸びてきて。 振り向くと、そこには、ルイスがいた。 「る、ルイス?」 「退いてろ、レンタロウ」 ルイスは、手際よくロープを解くと小舟を海面へと下ろした。 「どうして?」 俺は、ルイスと小舟に乗り込みながらきいた。 ルイスは、俺に優しく微笑みかけた。 「海のことを知らないお前を1人でいかせることはできない。俺も一緒に行く」 「でも」 「お前のことだ。どうせ、アメリに会いに行くんだろうと思っていた」 ルイスは、黙って船をこぎだした。 俺は、ルイスの横顔をまじまじと見つめていた。 そして。 俺は、小さく呟いた。 「ありがと・・ルイス」 俺たちは、神船を目指した。 幸いにも、辺りは霧に包まれていて俺たちの姿を隠してくれていた。 ルイスは、慣れた様子で小舟を操り神船へと近づいていった。 俺たちは、黙り込んでいて、口をきくことはなかった。 船は、夜明けの海を静かに進んでいく。 神船の甲板の上に白装束のアメリの姿が見えた。 俺は、我慢できず。 思わず、小舟に立ち上がり叫んだ。 「アメリっ!」 アメリが振り返った。 その唇が、『レン』と動くのを、俺は、見た。 「アメリっ!」 そのとき。 小舟が波に揺れて。 俺は、海へと投げ出された。 どろどろのタールのような黒い海の水は、俺にまとわりついて飲み込もうとしていた。 俺は、体の自由がきかなくって。 「レンタロウ!」 ルイスが叫んで飛び込もうとしたとき、俺は、海の底へと引きずり込まれるのを感じて目を閉じた。 ルイスの手は、俺には、届かなかった。 俺は、溺れて。 そのまま、死の海へと沈んでいき、意識が途絶えていった。

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