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2.鬼の長のところへ連れて行かれました

「やだぁっ……怖いっ、食べないでぇっ……!」 「んむ。ん……こりゃあいい。おしっこまでうまいなおめえ。天使の体液は全てうまいっつー話だったがほんとだなっ!」  鬼は僕がおもらししてしまったことを知ると、いきなりその場で薄絹を剥いで汚れてしまったところを舐め始めた。僕はあまりの恐怖にがくがくと震えながら懇願する。やっぱり鬼は人を食べるんだ。涙が浮かぶ。でもここで泣いたら機嫌を損ねて本当に食べられてしまうかもしれない。怖くて怖くてたまらなかった。 「鬼というのはどこまで野蛮なのか……せめて天使さまを下ろしなさい。怯えていらっしゃいますよ!」 「ああ?」  鬼が僕の縮こまっている股間から顔を上げた。そして僕の顔を見上げる。僕の目に涙が浮かんでいるのを見て舌打ちした。 「ちっ、弱っちいな。こんなんで(おさ)のが受け入れられるのかあ?」  鬼は顔を反らすと僕を横抱きにした。 「ついてこれねえなら置いてくぞ!」  そう言って鬼はすごい速さで走り出した。リンドルは即手綱を握ると、鬼の後を追って馬車を動かしたようだった。  薄絹の衣裳を剥がれてしまった僕は裸になっていた。鬼の体温は高いのか、抱き上げられていると寒くは感じられなかった。でも裸なのが恥ずかしくて僕は顔を伏せていた。びゅんびゅんと音がするような速さで鬼は駆けていた。もしかしたらリンドルと引き離されてしまうのではないかと思ったら泣きたくなった。 「……馬車、は……」 「ああ? どうした?」  僕の呟きに鬼が足を止めた。 「馬車、は……」  耳を澄ませばかろうじて音は聞こえているけど、ちゃんと付いてきてくれているのかどうか不安だった。 「ついてこれなきゃあ置いてくっつただろ」 「……やだ……」  今度こそ涙がこぼれた。こんな怖い魔物の側に一人きりにされたら死んでしまう。ぼろぼろと涙をこぼした僕を見て、鬼は嘆息した。 「しょうがねえなぁ……天使にはなあ」  鬼はそう呟くと、馬車が追い付くまで待っていてくれた。 「おや、待っていていただけたのですか。ありがとうございます」  馬車の限界かと思うぐらいの速さで走らせてきたリンドルが僕たちを見つけて、意外そうに言った。 「天使に泣かれちゃあしかたねえ」  リンドルは笑んだ。 「それは光栄です。天使さま、一生お仕えさせてください」 「……えええ……」  どうしてそうなってしまったんだろうと思った。そういえば、追い返される可能性があると言っていなかっただろうか。僕はもしかしてリンドルに対してとてもひどいことをしてしまったのではないだろうか。 「リ、リンドル……ごめん、なさい……」 「? 何を謝るのですか? さあ、先を急ぎましょう」  リンドルは全く気にしていないというように、鬼に先導するよう促した。  それからどれほどの時間鬼は走り続けただろうか。真っ暗だった森の中にいきなり明かりが灯った。 「!?」 「長の元に着いたぞ。おめえはいい味がするから俺もおめえのこと犯してえなあ」  不穏なことを言われて僕はびくっと震えた。 「なんだ? まだ怯えてんのか。弱っちいな」  いきなり、大きな木でできた建物のようなものが現れた。これは……魔物たちの家なのだろうか。僕は目を見開いた。 「長、天使を連れてきました」 「入れ」 「従者のリンドルと申します。同行させてください」 「入れ」  大きな木の扉が開かれ、鬼とリンドルが足を踏み入れるとそこは土間のようになっていた。木で一段上がったような場所が奥にあり、そこにとても大きな鬼があぐらをかいて座っていた。今僕を抱いている鬼よりも一回り大きく見える。あの鬼に犯されるのだろうかと思ったら血の気が引いた。僕は思わず目の前の鬼に縋りついた。 「お? なんだおめえかわいいな。長は優しいお方だ。安心しろ」  相変わらず唸るような怖い声だったが、少し甘さも含んでいるように思えたので僕は顔を上げた。 「ほ、ほんとうに?」 「ああ。長、この天使は無垢ですぜ。大事にしなきゃいけねえみたいです」 「そうか。よこせ」  長と呼ばれた鬼がドスンドスン大きな音を立てながら近づいてきて、僕を抱いている鬼から取り上げた。 「ひぃっ……!」  すぐに横抱きにされて元いた場所に戻っていく。リンドルは土間で傅いていた。 「そう怯えるな。これからたっぷり犯してやるからな」  凄みのきいた声が至近距離でし、大きな牙が口の端から覗いた。目は真っ赤で、青みがかった髪は長くてとても恐ろしい姿だった。 「ひっ、ひぃっ……!」  もうどうしたらいいのかわからなくて、僕の尻がまた温くなった。 「あ、あ……ごめん、なさい……」  さっき出切っていなかったみたいで僕はまたおもらししてしまった。鬼のズボンを濡らしてしまったと思う。僕は死を意識したが、鬼はククッと喉の奥で笑い僕をその場で押し倒した。 「ひぃいっ……!」 「弱弱しくてなんともかわいらしいものだ。舐めてやろう」  大きな鬼はそう言うと、先ほどの鬼と同じように僕の股間をべろべろと舐め始めた。 「やぁあっ……ご、ごめ、あぁあっ……!」  萎えている僕自身も大きな口の中に収められてくちゅくちゅと舐めしゃぶられる。それだけじゃなくて、その下にある玉も一緒に含まれて舐め転がされた。 「あっ、あっ、ごめ、ごめん、なさ……あぁああっ……!」  そうされていると恐怖で縮こまっていたはずの僕自身が徐々に反応し、とうとう勃起してしまった。大きな鬼は満足そうに喉を鳴らした。そして、僕が達してしまうまで舐め続けたのだった。

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