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3.嫁入りの儀式をきちんとしなければいけないそうです

「やっ、あぁあああーー……」  散々舐めしゃぶられた僕自身から精液が漏れる。それを大きな鬼は当然のように飲み、もっとよこせとばかりに尿道をぐりぐりと舌先でえぐるようにした。 「ひぃっ、やああっ……!」 「うまい。もっとよこせ」 「やぁっ、やぁあっ……!」  イッたばかりの僕自身を刺激されるのがつらい。逃れようにもがっしりと身体を抑えつけられてしまっているから身じろぐことすらできない。気持ちよかったけど、つらいって思った。涙がぼろぼろこぼれる。このまま僕はこの鬼に犯されてしまうのだろうか。  大きな鬼が顔を上げた。涙でぐしゃぐしゃになっているだろう僕の顔を見て、鬼は舌打ちした。 「こんなに弱弱しいものだとは聞いてないぞ!」 「ひっ……ご、ごめん、なさ……」 「謝るな!」 「ひぃっ……!」  怖くて怖くてたまらない。裸にいきなり剥かれて、おもらししたのを舐め取られて、連れて来られてもっと大きな鬼に股間を舐められてイカされた。もう何が何だかわからない。 「長殿! 天使さまは村育ちで何も知らないのです! 優しくできないのならば私が責任持って連れ帰ります!」  リンドルの怒鳴り声がした。 「そんなことさせるわけねえだろうが!」  目の前の大きな鬼が吠えた。 「でしたら! 嫁入りの準備をさせていただきたい! あなた方では天使さまを清めることも、十分に世話をすることもできないはずです!」 「……ああ、まあ……そうだな……」  大きな鬼はしぶしぶ俺を抱き上げると、リンドルの側まで運んでくれた。 「長殿、馬車から道具を持ってくる許可をください」 「おい! 馬車毎持ってこい!」  中で控えていた鬼が出て行き、馬を外した馬車を運んできた。その力強さに僕は目を丸くした。 「ありがとうございます。では中で準備をさせていただきます」 「……ここでいいだろう」 「花嫁衣裳を着せるのですよ。そのような無粋なことはおっしゃらないでください。長殿も、大事な初夜の為に寝床の準備をさせてください。このような床に直接押し倒したら天使さまが傷ついてしまいます! ああ、天使さま……肩が腫れて、おいたわしい……」  リンドルは僕の身体の状態を確認すると切なそうな顔をした。興奮しているせいか今のところ痛みはないけど、打ち身などもあるみたいだった。 「……わかった。おい、てめえら! 宴の準備だ! 俺の寝床に上質の布団を敷いておけ! 天使さまの嫁入りだ!」 「ひゅう~~~!」 「天使だーーー!」 「犯してえっ!」 「泣かせてえっ!」 「嫁入りだーー!」  鬼たちが沸き、その激しさに僕はびくっと震えた。やっぱり相手って一人じゃないんだなって思った。リンドルに優しく抱き上げられて馬車の中に入る。僕はほっとした。 「今治癒をかけますね。それから……全身を洗浄します。やはりついてきて正解でした。花嫁として連れて来られても、あのままでは三日と持たず死んでしまったかもしれません」  リンドルが僕の状態を確認して嘆息した。 「ええっ……!?」 「ウイ様、天使というのは本当に弱い存在なのですよ。できるだけ私が側にいて手助けしますので流されないようにしてください」 「……はい、わかりました」  やっぱりあの時、鬼に待ってもらってよかったと思った。洗浄するというのは知っていたけど、誰かにされるのは慣れない。指を尻穴の中に入れられ洗浄魔法をかけられて中をキレイにされたのだけど、その指を入れられたことで感じてしまい、困ってしまった。 「ウイ様、感じていただけたのですね」  僕はとても恥ずかしくて両手で顔を覆った。 「恥じらうウイ様もかわいらしい……ですがそれは長殿に鎮めてもらってください」  勃起した僕自身は、僕が自分で処理してはいけないらしい。薄絹の衣裳を着せられ、その上から真っ白いベールのようなものを被せられた。これで僕は布越しからでなければ物が見えなくなった。 「おい! まだか!」  いら立ったような声がした。大きな鬼の声だった。 「……ひぃっ……!」  僕は身を竦めた。この鬼に嫁ぐなんて、僕にできるんだろうか。 「天使さまが怯えてしまいます。もう少し抑えなさい! 今連れて行きます」  リンドルは僕を抱き上げると馬車から出た。すぐ目の前に険しい顔をした大きな鬼が待っていた。 「なんだ、この布は……」 「嫁入りの衣裳ですよ。本来花嫁というのは口元以外は他人に見せないものです。全てを晒すのは花婿の前だけです。花婿は長殿でよろしいのでしょう?」 「……ああ。そうか、そういうことなのか……」  なんだか大きな鬼の雰囲気が少しだけ柔らかくなった。鬼は僕をリンドルから受け取ると、そっと動いてくれた。その壊れ物を扱うような動きにほんの少しだけ胸が疼いた。  大きな鬼は建物の奥にどっかりと座ると、そのあぐらをかいた上に僕を座らせた。 「おう! おめえら、これは天使さまだ。俺の花嫁だから勝手に手ぇ出すんじゃねえぞ! カヤテ! 天使さまについて調べとけ! さあてめえら、飲んで、騒げ!」  わあっと場が沸き、運ばれてきた食べ物や飲み物をみなが荒々しく食べ始めた。その姿を見て僕はまた目を丸くした。 「おう、花嫁。なんか食うか?」 「は、はい……あの、あまり固くない食べ物があると……」 「ああ? 本当に弱っちいな」  リンドルがいつのまにか側にいて、どこで獲れたものなのか魚や肉などを食べやすい大きさにして皿に載せ大きな鬼に渡した。鬼はそれを僕に渡してくれたので、やっと僕は自分のおなかがすいていることに気づいた。  興奮しすぎて空腹も忘れていたらしい。どうにか食べ物を口に運ぶ。大味だけど、おいしいと思った。 「……うまいか?」 「おいしい、です……」  声は恐ろしいけど優しくしてくれようとしているのを嬉しく思った。どうせ僕はここで一生過ごすことになるのだ。優しい旦那さまと一緒に暮らせるといい。  大きな鬼は豪快に魚や肉を食べた。その破片とか汁とかが僕にかかったけど、その度にリンドルがキレイにしてくれたからあまり気にならなかった。  そして、僕がおなかいっぱいになったことを確認すると大きな鬼は腰を上げた。 「腹は満たされたな? ではヤるぞ」 「……はい」 「初夜ですから、きちんと慣らして差し上げてくださいませ」  リンドルは寝床の手前までついてきてくれた。 「何かありましたらお声がけを。治癒魔法と洗浄魔法が使えますので」 「わかった」  大きな鬼が答える。そして寝床の戸が締められた。

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