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第12話
俺は万が一怪猫が俺たちに危害を加えてきた場合に備えて式神を召喚した。神川先生も九条も護法童子や式は持っているが、だいたい俺の式神にそれぞれを守らせることが通例となっている。俺は六合、勾陳、太裳を召喚し、それぞれの守りにつけた。その間に九条は除霊符と筆の準備をした。
基本的にこのような除霊や調伏は九条の仕事となる。俺たちは除霊の手順を確認すると早速とりかかった。
九条は美佐子に対して九字を切る。
「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前!」
すると美佐子はあからさまに敵意をこちらに向けてきた。半物質である爪でこちらに攻撃をしかけてくるが俺の式神が弾き返す。
「ぐゔゔゔゔゔ……!」
続いて九条は不動三種印明、仏眼印明、愛宕三種印明を結ぶ。
「ぎゃああああああ」
腹の底に響くような絶叫。本人のリミッターはとうに切れていて怪猫の感情の赴くままに吠えているのだろう。
俺と神川先生は美佐子を取り押さえにかかる。二人共式神の力を借りて飛んでくる爪を避けながら美佐子に近づき体を取り押さえた。
「ゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔ!」
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