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第21話

 などと言いながらK家に到着した。K家は地方都市にあるごく一般的な一戸建てであった。清潔そうな外の三階建の建物で小さい庭もついていた。しかし家の雰囲気は暗く澱んでいるのがわかった。全ての部屋のカーテンが昼間にも拘らず閉まっていた。また小さい庭の芝生も伸び放題で三輪車や竹馬が錆びや泥に塗れて放置されていた。  呼び鈴を押すとやつれた女性が出てきた。俺達を見る目は半信半疑と言った様子だったから藁をも掴む思いだったのだろう。しきりに咳をしながら「どうぞこちらへ」と案内されたリビングも陰鬱な気配が漂っていた。観葉植物は枯れ、角の方には埃が積もっている。ゴミ袋や段ボールが積まれ、カーテンは締め切られていた。  リビングに集った家族らは一様に隈がひどく、咳き込んでいる。どうやら障は相当やばい所まで来ているらしい。新しい犬神がここまでの障を起こせるとは……やはり術者は相当数の犬を使って犬神を作ったらしい。同様のことを考えているであろう神山先生の表情は曇っている。 「……家族全員このような有様で、拝み屋さんからは手に負えないと……」

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