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第23話

 そこでなんの気無しに霊視してみると確かに大量の犬が溶け合った肉の塊が数多の口で噛み付いている光景が見えた。その光景はグロテスクで食欲が失せるほどだった。こんな夢を毎晩見ていたら眠れなくもなるだろう。  神川先生は聞く。 「わかりました……拝み屋から聞いたと思いますがこれはとても強力な呪詛です。親戚の方にも同じ症状が出ているとか……」 「そうです。少し前から夫の兄弟も同じ症状が出ているそうです。」  父親を中心として呪詛が出ている、ということは相手の狙いは父親だろう。その点について神川先生が問う。 「おそらくこれは旦那様を狙ったものなのでしょう。旦那様の方で心当たりはありますでしょうか?」  父親は、答えにくそうに言った。 「……犬好きの同期が一人いますが、いい奴です……。ただ」 「ただ?」 「前回の昇進で彼ではなく私が昇進しました。彼は人一倍出世に拘っていましたから……ただ彼がそんなことをするなんて想像ができないです」

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