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第25話

 数日後、父親とその二人の兄弟、母親、子供二人の総勢七名の呪詛返しを行うこととなった。その日はザアザアと土砂降りの雨だった。その雨にもかかわらず神川先生はそれなりのスピードで車を運転していて恐ろしかった記憶がある。  K家に到着するとリビングに全員集合してもらった。俺は防御用に六合、勾陳、太裳そして神川先生に言われ白虎を召喚しておく。たかだか犬神の呪詛返しに白虎まで召喚しなくても良いのではと思ったが、言う通りにした。今思えばここから既に俺は……いや俺達は油断していたのだろう。幾ら強力と言っても新しい犬神であるから楽勝だと。しかし神川先生はいつになく緊張した面持ちだった。  九条は紙で作った人数分の人形を用意しそこに「アビラウンケン バンウンタララキリリアク 三本文士八五水急急如律令」と「年を経て身をさまたぐる荒見前、今は離れて本の社へ」と書き入れていた。その時、ガタガタと家具という家具が揺れだし、窓ガラスが割れた。 「やはり……犬神が呪詛返しに気づいたぞ!」  神川先生が叫ぶ。どうやら先生はこの事態を危惧していたらしい。

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