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第27話

 人形が完成すると子供から順に先生と九条が祈念しながら呪詛を人形に移していく。その間も家具は揺れ、リビングの照明は切れてしまった。 次の瞬間、剥がれた壁が先生に襲いかかる―― 「先生っ」  俺と勾陳が咄嗟に先生を庇おうとするが遅かった。剥がれた壁の切先は先生の左目に直撃した。 「――っ!」 「先生!」  俺と九条は同時に叫ぶ。それに対して、 「いいから落ち着いて呪詛返しの準備をしろ!」  と恫喝すると左目から血を流し続けながらも全員分の呪詛を移し終えると、包み紙を用意し梵字のボロンを書き封じた。犬神達は最後の抵抗とばかりに家中の食器を宙に浮かせ四方八方に飛ばす。それをなんとか式神で防ぎながら俺は九条の祈祷が早く終わることを祈った。 「河の瀬に祈り続けて払降れば、雲の上まで神ぞ登りぬ!」  そう唱えた瞬間、家中が静まり返った。 「……これで終わりです。我々はこの包み紙を近所の河川に流してきます……みなさんお怪我はありませんか?」  左目から血を流しながらも穏やかに問う神川先生に「いえ、こちらは怪我はありません……」と家族が答える。

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