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第31話
しかしその祀っていた一族、のちのO家の分家が次々と失踪あるいは殺害されていると言う。夜刀神は祀り上げることによって平穏を保っているが、元は一眼見ただけで一族全員が滅ぶとされているほど強力な蛇神である。このままO家が滅んでしまうと、夜刀神が暴走してしまう恐れがある。
そのO家本家から依頼を受けた俺達は三人で現地へ向かった。O家は茨城県の某市にあり、国道沿いの道から脇に入ったところにある大きい家だった。生垣に囲まれた古い日本家屋で、庭は広い。事前に庭のどこに車を駐めても良いと連絡があったので俺は適当な位置に駐車する。車から出ると、空は曇天。蒸し蒸しとした空気が漂う。
特に裏門から入るなどの指示はなかったので表玄関で呼び鈴を押すが何の応答もない。約束した時間丁度なのにこれは妙である。俺達は煙草を吸いしばし待ってみることにした。家の中に人の気配はない。何か急用でもできて出かけているのだろうか?
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