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第33話

 しかし息子の行方がわからない。例のO家を狙った事件であれば失踪している可能性が大きい。しかしなぜ息子だけ?そう思って俺は息子の部屋へ入った。息子の部屋は片付いており、行方の手がかりになりそうなものはなさそうだった。俺はなんの気無しにクローゼットを開けてみた。そこには空のハンガーがたくさんぶら下がっており、服が数着を残して持ち去られているようだ。息子だけ旅行中なのだろうか?いや確かこの件でO家に呼ばれた時には家族全員と面会する予定だったからその筈はない。……息子は自分で家を出た可能性が高い……。  そこまで調べた段階で警察が到着した。最初は俺達のことを胡散臭く思っているような態度だった。しかし神川先生が繋がりのある警察のお偉方からの連絡を受け、俺達のことを一応は信用してくれたらしい。 「――では到着した時はこの状況だったということですね?」 「はい、そうです」  神川先生が警察と話しているところに入っていって、 「息子さんがいた筈だと思って息子さんの部屋にも入りましたが居ませんでした。なので息子さんの部屋に俺の指紋が残っていると思います」 俺は後々疑われないために宣言しておいた。

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