「もしかして犯行の中心人物は和樹なんでしょうか？」 　ここで九条も話に加わる。 「代々やってる家業が嫌になったんじゃねえの？」 「お前じゃないんだからさ」 　九条は代々祓い屋の家系で、本来なら俺と同じく十二歳で修行を始める予定だったが「まだ遊びたい」という理由で三年間修行していなかった。そんな九条と一緒にされるのは心外だろう……相手は殺人事件まで起こしているのだから。 「例の投稿主のアカウントにアクセスしてきた人物も特定できたみたいだよ、今メールで送るって」 　神川先生がいうか言わないかのタイミングで、事務所のパソコンへメールがくる。これが今回の容疑者リストとなる。 　長瀬　塔矢（19）　東京都K区○○3−12−7 　大井　誠（23）　　神奈川県Y市○○2−6−9 　坂井　涼介（20）　富山県T市○○3−259 　石川　桜（29）　　岩手県I市○○2−15−4 「警察の方でもここに書いてある人物を探すみたいだけど……まあ無理だろうな」 　容疑者の所在が全国にまたがっている上、きっと今は行方を晦ましているだろう。