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第45話
意外と俺の胃はピザを受け付けたらしく半分ペロリと平らげてしまった。しかしハイカロリーなものを取ると一気に血糖値が上がって激しい眠気に襲われる。俺はコーヒーを思いっきり濃く淹れて飲んだ。ついでにベランダに行って煙草も吸う。我が事務所はお客様がきた時のために室内完全禁煙なのだ。
「……」
俺は胸いっぱいに煙草の煙を吸い込む。そしてその煙をなるべく長く肺に滞留させ、少しでも多くのニコチンを肺胞が吸収できるようにした。しかし眠気は去らない。
「おう、随分とおねむじゃねえの」
そう言いながら九条もベランダに入ってきた。男二人には少々窮屈なスペースだが、九条が来たって俺は煙草を吸い終わるまで退いてやらない。何だったら二、三本吸ってやる。
「そういうお前は呑気でいいな」
「そんなこたあねえよ。一昨日だってちゃんと起きてたろ?」
「その前の日はちゃんと寝たんだろ?こっちはほとんど寝てねえんだよ」
「まあまあそうカリカリせずに頑張ろうや」
「うるせえよ!」
思わず少し大きい声で言ってしまった。寝不足による苛立ちはピークに達している。
「お前いっつもイライラしてんなー」
「誰のせいだろうな」
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