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第46話
「俺のせいなの?へえ」
何故か九条は満足げだ。しかしその理由について深く考える必要はないと判断して俺は黙って煙草を吸い続けた。
二本目の煙草を吸う。全く煙草なんて吸い始めるんじゃなかった。神川先生の影響で何となく吸い始めてしまったが最後、ズルズルと依存してしまっている。依存しているのは煙草だけではないけれど。神川先生も止めてくれればよかったのに。
神川先生と同じ銘柄の煙草を吸うと神川先生が近くにいるような、そんな気分になる。残念なことに横にいる九条も同じ銘柄を吸っているが、確か煙草を吸い始めたのは俺の方が早かった気がする。大きな声では言えないけれど俺が十八、九条は二十一歳の時だったか。成人してから煙草を吸い出した理由はきっと自分だけがこのベランダに入れないのが嫌とかそんな理由だろう。こいつは本当にしょうもない。俺は別に低身長ではないが、九条の方が俺より二〜三センチ身長が高く、九条は「未成年から煙草吸ってっから身長止まったんだろ」と笑ってきたこともあった。それ以降俺は九条の隣に極力並ばないようにしている。
「なあ、お前さ」
いつになく神妙な顔付きで九条が言う。
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