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第47話

「神山先生のこと、諦めた方がいいぞ」 「ばっ……なっ……!」 「先生は若い頃に恋人が死んだんだけど、その女に未だに未練あるっぽいからな」 「……」  先生が恋人を亡くしたことも、女が好きだってことも、未練を抱いている女がいるってことも、九条がそれを知っているのもショックだった。絶句する俺に、 「だから諦めたほうが――」 「うるせえよ!お前に関係ねえだろ!!」  吸っている途中だった二本目の煙草を捻り潰し、灰皿へ投げ捨てると俺はベランダから出た。恋人?未練?俺は知らないのに、なぜ九条は知ってる?そのことで頭がいっぱいで一瞬式神との意思疎通が途切れる寸前になった。  九条がベランダから戻ってくる。重い沈黙。 「俺はさあ、お前のためを思って言ってんだぜ」  仁王立ちの九条とソファに座った俺。些細な口喧嘩はしょっ中だが、俺はかつてないほどにこいつに怒っている。俺が知らない神川先生を知っているばかりか、諦めろなんて簡単にいうこいつに。 「うるせえ」 「見込みのない相手を思い続けてるなんてもったいな――」

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