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第48話
「うるせえって言ってんだろ!!お前に俺の何がわかるんだよ……余計なこと言ってると式神でぶっ飛ばすぞ」
「わかるって、俺はお前を見てるんだからな。神川先生よりずっと」
仁王立ちだった九条がゆっくりとソファに近づいてくる。
「俺は、ずっとお前のことだけ見てる」
そのままゆっくりとキスをしてきた。呆然としている俺でも避けられるスピードで。
「……俺にしとけよ」
そのまま九条は離れていった。わずかに顔が赤い。俺は九条が言っている言葉の意味を理解するのに時間がかかった。キスの意味も。
「……何でそんなこと知ってんだよ」
「どうせお前は聞けないだろうなって思って聞いたんだよ。別に隠してることでもないみてえだからお前も聞いてみれば?」
笑いながら九条が言う。俺はそんなことできないと知った上で。そして俺にしろ?九条に?九条と付き合う?
「意味わかんねえ、お前とだけは絶対に付き合いたくねえ」
「言うと思った。でもお前、その言葉で俺が傷つかないと思ってるだろ?違うからな」
「……」
俺が黙ると九条も沈黙した。
その晩俺たちは他に会話せず、珍しく静かな朝を迎えたのだった。
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