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第52話
「でも式神達が自己判断できていたから結果的にみんな無事で済んでよかったよ。榊、お疲れ様。依頼もないし、二、三日ゆっくり眠るといい」
「わかりました。ありがとうございます」
そう言って俺は事務所を後にし、マンションへ帰宅した。
しばらく帰っていなかったマンションにたどり着くと、精神的な疲労でバタッとベッドに倒れ込み、すぐさま眠った。
バリバリバリバリと壁が剥がれる音、それが神川先生の左目に直撃する――
汗だくで目が覚めた。あの日の夢だ。後から思えば神川先生も前鬼・後鬼と矜羯羅童子・制託迦童子を召喚していなかったのは落ち度といえるが、それは俺と俺の式神を信用してくれていたことの裏返しでもある。俺はそれを裏切ってしまった。なのに変わらず接してくれている神川先生。
「昔の恋人、か……」
俺は十二歳から神川先生に師事していて、初対面で神川先生に一目惚れをし。そこから我ながら一途に思い続けているので、「昔の恋人」とか「未練」という感情にピンとこない。
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