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第54話

 考えるほど物理的な襲撃が妙に思えてきた。無益な結果にしかならない上に警察に捕まるリスクまで冒してなぜやったのだろうか……?  ……まさか……襲撃からの逮捕は囮……?  シャワーで温まったはずの体がゾッと冷えてきた。逮捕は事件が解決したと俺たちに思わせるため?だとすると――  俺はシャワーを手早く済ませると式神に二家族の様子を見にいってもらった。式神がたどり着くまでのわずかな時間、生きた心地がしなかった。ようやく到着した式神から意思疎通が入る。 「……全員死んでいます……喉を掻き切って自殺したようです」 「こちらも同様です。どうやら時間差で発動する呪詛の類が仕掛けられていたようです」  呪詛か!残りの四人の中には術に相当精通していた者がいるらしい。気付くのが遅かった!俺は急いで神川先生に連絡し状況を伝える。 「何だって!?……くそ……」 「逮捕は俺たちに事件が解決したと思わせるための罠だったようです」 「でも夜刀の神の祭祀者は……和樹はまだ生きている……筈だが警察に和樹が自殺しないようにしっかりと見張っておいてもらうようにしよう」 「わかりました。至急お願いします」

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