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第55話
その三分後、神川先生から連絡が入った。
「やられたよ……こっそり持ちこんだカミソリの刃で死んでいたらしい。これで……夜刀の神の祭祀者は全員居なくなった。これから急いで茨城県に向かうよ」
「わかりました。現場に式神を先に行かせます」
「頼んだ。これから車で迎えに行くから」
急いで身支度を済ませると、精神を統一し、貴人、太陰、玄武、太裳、天空、朱雀を現場に向かわせた。
呼び鈴がなり神川先生が迎えに来ると急いで車に乗り、常陸国風土記に記されている境界の堀へ向かった
運転は九条がしていた。俺は助手席に乗り込む。運転をかわる一瞬すら惜しいからだ。
「安全運転で頼むぞ九条」
「へいへい」
「式神からの情報は?」
「夜刀の神は境界の堀付近に集まっているようです」
「なるほど、そこから一気に人里へ降るつもりか」
苦々しい顔で神川先生が答える。運転している九条もいつになく真剣な表情だ。
「そのようです」
「夜刀の神はその姿を見ると一族が滅ぶと言う伝承があっから、お前の式神で遠隔から討伐するぞ。俺の前鬼・後鬼と矜羯羅童子・制託迦童子も加える」
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