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第57話
式神を十体同時に戦闘させ、残りの二体も召還しているので相当精神の消耗が激しい。特に四神相応の地でない場所に無理くり四神を召還しているので尚更だ。
式神と懸命に意思疎通する。どうやら現場はこちらに圧倒的有利な状況で推移しているようで、俺たちが現場に着く頃には戦闘は終わっていそうだった。その旨を神川先生に伝えると神川先生は祓詞の儀に使う道具を確認し始めた。
現場付近まで近づいたところで、時刻は正午となった。真昼間にも関わらず空は暗く雨が降り頻る。式神から現場を制圧した旨の報告があったが、念には念を入れてしばらくその付近を探索させ、夜刀の神がいないことを確認させる。確認の結果、いないとのことだったので我々は現場に降り立った。
境界の堀は意外とこじんまりしていて何の変哲もない堀だ。しかし先程までここで死闘が繰り広げられいたせいか、血生臭い匂いと堀の水の色が赤く染まっている。事前に指示をして夜刀の神の死体は朱雀が全て燃やし尽くしてくれていたので、俺たちは夜刀の神の姿を見ずに済んだ。
俺は式神達に「ご苦労だった」と声をかける。戦闘に参加した十体の式神を還すと祓詞の儀の準備を手伝った。
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