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第61話
「それは禁術だ!それに神川先生の魂が戻ってくる保証がないのは知っているだろ!?」
反魂の儀は禁術な上、肉体こそ黄泉がえるが魂が元の持ち主のものとは限らない。その辺の浮遊霊の魂が入ってしまうことがほとんどだ、でも……
「九条、お願いだ……頼む……」
俺は九条に縋り付く。
「だめだ」
「九条!」
「もう諦めろ!神川先生は逝ったんだよ」
そう、神川先生の魂はもうここにはない。
「……九条……俺がもっと注意深く式に周囲を探索させていればこんなことにはならなかった……俺のせいだ……俺の……」
集中力を欠いた状態で式神を操っていたのだから式神も注意散漫になったのだ。俺のせいだ。俺が神川先生を殺した……。
「そんなこと言うなら俺が式神使えないせいでお前の負担がデカすぎたんだよ……俺のせいだ……すまない……」
「……」
「……」
沈黙。お互いが自分自身のことを責めている。でもどんなに自分を責めたからといって神川先生は戻ってこないのだ。
九条は言った。
「……とにかく神川先生の知り合いの警察官に連絡しよう。遺体を遺族に引き渡さなきゃならないしな……」
「……ああ」
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