神川先生の葬儀は盛大なものだった。本人は生前「あんまり葬式は派手にしたくねえなあ」と言っていたが、遺族の意向で生前の仕事でお世話になった方を呼びたいとのことで、警察関係者や病院の関係者、かつての依頼人達など様々な人が集まった。喪主は神川先生の父親が務めた。父親は息子を先に亡くしてしまったが「まあ危険な仕事だから覚悟はしていたよ」とことの詳細を話した俺達を責めることはなかった。あの日神川先生は夜刀の神を視認する前に殺されたらしく、神川先生の親族は無事なようだった。 　葬儀の間もあの日と同じように雨が降っていた。父親は傘をさしながら訪れた弔問客と「お足元がお悪い中……」「いえいえ、この度は……」という会話を繰り返している。 　俺は葬儀の間ずっと泣いていた。その俺のそばを九条は離れなかった。別にそばにいて欲しいとか支えて欲しいなんて言ってないから余計なお世話だと思ったが、それを言うことすら億劫だったのでそのままにしておいた。 　葬儀の帰り道、俺と九条はそれぞれの自宅に向かう道すがら少し話をした。 「あっという間だったな」 「そうだな」