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第97話

 俺は精神を集中させ、十二天将全員を実体化する。 「十二天将全員実体化かよ……お前精神力は大丈夫なのか?」 「大丈夫だ……あの時の俺とは違う」 「……わかったよ、でもしんどくなったら絶対言えよ」 「ああ」  北海道から沖縄まで各県警に連絡を取る。島根からあまり遠いところに当たりはないと思ったが念には念をだ。それほど例の箱、「コトリバコ」は危険な呪物なのだ。  数時間後、警察から連絡が来た。調査の結果、約二十八人が所在不明あるいはアリバイなしと言うことだった。すぐさま式神達をその場に急行させ、探査の呪を行った結果、うち二十七人の所在が判明し、その全員が昨日のアリバイは確実にあるとのことだった。  残りの一名、佐藤 直光は死亡していた。佐藤は鳥取在住のコソ泥で、服役を終えた今は自宅で過ごしているはずだと近所の人間は証言していたが、呪で探査した結果、その自宅には不在で鳥取県の人形峠で自殺しているとのことだった。俺は急いで警察に人形峠の遺体を調べてもらうことにした。特に携帯電話の類に不審な連絡先が残っていないかを急いで調べるように言った。

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