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第104話

「西川……?知りません……」 「そうですか、しかし時は一刻を争いますので我々と共に病院へ避難してください」 「急にそんな……」  戸惑う妻に俺は声をかける。 「娘さんにも被害が及んでいるはずです。違いますか?」 「確かに娘も具合が悪いですが……」 「ではすぐに我々の車へ乗車ください」  警察官が言うと妻は急いで娘を連れてパトカーヘ乗車した。 「……ちなみにお隣のご家族に女性とお子さんの方はいらっしゃいますか?」  俺が聞くと、 「奥さんと息子さんがいたと聞いていますが……」  と答えた。すると警察官が、 「ではそちらも保護しましょう。タクシーを呼びますので――」  と言った瞬間、白虎が素早く動き、家と家の境界へ移動していった。 「まずい、早くパトカーを出してください」 「でも――」 「早く!」  そういわれた警察官は、一名を残してすぐにパトカーを発進させた。  俺はそれを待たずに隣の家との境界へ向かった。そこには髪の毛を振り乱した女がバッグを掲げ今まさに地面に投げつけるところを白虎が押さえていた。 「西川 雪菜だな?」  俺が聞くと女は金切声で叫んだ。

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