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第111話

 翌朝は冬の雨が降っていてひんやりと底冷えするような天気だった。俺たちはゆっくり起きると朝食をいただき、当主に出雲空港まで送ってもらった。空港へ向かう道すがら、警察から電話で、「西川 雪菜は斉藤の夫と長年付き合っていたが、現在の奥さんの方が本命で結婚を機に捨てられてしまった恨みから、コトリバコで奥さんと子供を殺せば斉藤が自分のものになると思っていたらしいです」とことの顛末が伝えられた。また西川 雪菜と夫人達は治療の末快方に向かっているとのことだったので当主も一安心したようだ。電話口の警察官は「でも本当に呪いって効果があるんですね……外傷もないのに内臓だけ千切れていくなんて恐ろしいです。また何かありましたらご協力いたしますので。では」と電話を切った。  今回の仕事は本当に何もかもギリギリだった。呪物を発見するのがもう少し遅れていたら西川 雪菜、夫人と子供、隣人の妻と子供は全員死んでいてもおかしくはなかった。またコトリバコと西川 雪菜が共鳴し出した時は見物人含め俺たちも危なかった。俺が出し惜しみせず式神を動員したことと、警視庁や全国の警察に神川先生が繋がっていてくれたおかげで事なきを得た。

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