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第2話
ある日、アンドレイは運命的な出会いをすることになる。
父王の重臣であり金融大臣を務めるフィリップが、息子のルイを連れて王宮殿にやってきた。
アンドレイも、その場に呼ばれたためルイ親子と対面した。
「王様、こちらが私めの息子、ルイにございます」
「ほう。金融大臣の息子か。そちに似てなかなかに賢そうだな」
「恐縮でございます、王様」
フィリップはそう言うとルイに「挨拶せんか」と促した。
するとルイは、片膝を付いて恭しく挨拶をした。それは既に、風格を漂わせた貴族のように優雅なものだった。
傍らで様子を見ていたアンドレイは、なぜかそれに見惚れてしまう。
「初めて拝謁つかまつります。ルイにございます」
アンドレイとさして年齢は違わないだろうと見られるルイだが、落ち着き恭しくユン王に深々と頭を下げた。
「うむ。利口そうな子じゃな。そこにおる王子とも、年はさほど変わらぬであろう」
父王は、自らが座る玉座から息子であるアンドレイを見下ろして指を指した。
傍らに佇むアンドレイに、ルイが顔を向ける。二人の目が初めて合った瞬間である。
「初めてお目にかかります。ルイと申します」
ルイはアンドレイにも礼を尽くした挨拶をした。
「よ、よろしく……」
アンドレイは何とか返事をした。ずっと宮廷の中で育った王子は、同年代の友というものがいない。だから、アンドレイはどう接すれば良いか分からないのだ。
「ルイとやらは、幾つになる?」
父王が問うと、ルイがはつらつと答えた。
「私は十一歳になります」
「ほう、そうか。では、王子の二つ上となるな。実に聡明そうじゃ」
「恐縮でございます。倅は勉学を好んでおりますゆえ、日々勉学に勤しんでおりまする」
「そうであるか。では、未熟な王子の遊び相手となってはくれぬか」
「お、王子様の遊び友達ですか?王様」
「そうじゃ。王子の友となって欲しいと思ってな。勉学ばかりでは気も詰まるというもの。どうじゃ、傍にいてやってはくれぬか」
父王は、ルイを見つめた。
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