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第12話
二人は、並んで海辺に座った。
「結構、時間がかかるものだな。疲れてしまった」
「大丈夫ですか?」
「あぁ、問題はない。海があることは聞いていたが、やっと来られて嬉しい」
広い海を見ると、心が穏やかになる。
「それは何よりです。王子様をお連れして良かったです」
「感謝している。しかし、海とは広いのだな。海の先には異国があるのであろう?」
「はい、王子様」
「海の向こうには、一体どういった国があるのであろうな」
「そうですね。私も興味があります」
「そうか?」
「さようです。いつか、王子様と共に異国へも訪れたいです」
「いつか、叶えば良いな」
「はい!あ、でも……私は王子様のお傍にいられれば、それだけで十分です」
ルイは、偽りのない真っ直ぐな目でアンドレイを見つめてきた。アンドレイも、ルイから目が離せなくなる。
「私は、ずっと王子様と共にいます」
「どうしたのだ、突然」
アンドレイは戸惑った。
「今はまだ学ぶばかりの身ですが、いずれ力を付けて、王子様にお仕えしたいのです」
「ルイ……」
「なので、ずっと……私をお傍に置いてくださいますか?」
「あぁ、分かった」
アンドレイが軽く了承すると、ルイがそっと顔を近付けて頬に口付けをしてきた。
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