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第13話

「なっ!何をするっ!」  アンドレイは驚き、ルイを突き飛ばしてしまった。 「痛い……」 「す、すまぬ……しかし、何故あの様なことをした」  よろけて尻もちを付いたルイは、体勢を立て直した。 「それは、王子様への誓いです」 「私への?」 「はい!お傍にいることを許してくださったことが嬉しいのです。なので、私は生涯王子様にお仕えすることを誓いました」 「生涯などと、大袈裟ではないか。私たちはまだ子どもだぞ?気持ちなど、いずれ変わるものだろう」  そうだ。人の気持ちはいつか変わるものだ。何がきっかけで変わるか分からない。 「そうですね。でも……王子様に対してお仕えしていきたいという思いは、変わることはありません」  ルイはきっぱりと言い切った。なぜそこまで言えるのか、アンドレイはますます混乱してしまう。 「なぜ言い切れる……」 「なぜでしょう。それは多分、私が王子様といたいと強く思っているからです」  ルイはアンドレイの両手を取った。なぜか胸の鼓動が激しい。どうしてこんなにもドキドキするのだ。 「王子様は、私がお守りします」 「ルイ……」  アンドレイの胸の鼓動は、しばらく治まらなかった。  ルイとこっそりと宮殿に戻ると、大慌てのトムに出迎えられた。そして、二人揃ってこんこんと一時間ほどトムの小言を聞かされるのである。  本来なら、勝手に宮殿を抜けだしたとなれば大事であり、父王の耳にも入るところだが、二人が無事帰ってきたこともあり、トムは父王に報告をしないと言ってくれた。 二度としないという約束で。

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