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第17話
「わ、私に触れることだ」
「あぁ。……それは至極簡単なことです。私が、王子様に触れたいから、ただそれだけでございますよ」
体だけ。単純にそう言われた気がした。気持ちなど、そこには存在しないのだと。
「そなたは、私を抱ければそれで良いということか」
「そうですね……いずれ王となられるお方をこの手中にしている、征服感とでも言いましょうか」
ルイはペロリとアンドレイの頬を舐めた。彼の本心が分かった気がする。
どうやらアンドレイは結局は、快楽やルイの言う征服感とやらのために抱かれ続けてきたらしい。
ルイに穿たれながら、アンドレイの頬を涙が伝った。
自分とルイの、気持ちが通じ合っていないことが、切ないのだ。
すると、ルイがアンドレイの涙に気付き指で拭ってくれた。
「どうされたのですか?なぜ泣いているのです?」
ルイは動きを緩めて、アンドレイの顔を覗き込んだ。
「べ、べつに何でもない。止めたら興が削がれるではないか」
「……分かりました、王子様」
恭しく返事をすると、ルイは律動を再開させた。
ルイを受け入れているのは自分だ。好きだからこそ、こうして抱かれている。
それでも、そろそろアンドレイの気持ちは限界かもしれない。
複雑な気持ちを抱えたまま、アンドレイは爆ぜた。
アンドレイがルイに抱かれるようになったのは、一年前のことだった。
それは、些細なことがきっかけだったのだ。こうも続くとはアンドレイは思っていなかった。
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