17 / 82

第17話

「わ、私に触れることだ」 「あぁ。……それは至極簡単なことです。私が、王子様に触れたいから、ただそれだけでございますよ」  体だけ。単純にそう言われた気がした。気持ちなど、そこには存在しないのだと。 「そなたは、私を抱ければそれで良いということか」 「そうですね……いずれ王となられるお方をこの手中にしている、征服感とでも言いましょうか」  ルイはペロリとアンドレイの頬を舐めた。彼の本心が分かった気がする。 どうやらアンドレイは結局は、快楽やルイの言う征服感とやらのために抱かれ続けてきたらしい。  ルイに穿たれながら、アンドレイの頬を涙が伝った。 自分とルイの、気持ちが通じ合っていないことが、切ないのだ。  すると、ルイがアンドレイの涙に気付き指で拭ってくれた。 「どうされたのですか?なぜ泣いているのです?」  ルイは動きを緩めて、アンドレイの顔を覗き込んだ。 「べ、べつに何でもない。止めたら興が削がれるではないか」 「……分かりました、王子様」  恭しく返事をすると、ルイは律動を再開させた。  ルイを受け入れているのは自分だ。好きだからこそ、こうして抱かれている。 それでも、そろそろアンドレイの気持ちは限界かもしれない。  複雑な気持ちを抱えたまま、アンドレイは爆ぜた。 アンドレイがルイに抱かれるようになったのは、一年前のことだった。 それは、些細なことがきっかけだったのだ。こうも続くとはアンドレイは思っていなかった。

ともだちにシェアしよう!