27 / 82
第27話
翌日、アンドレイはルイを従えて宮廷の敷地を歩いていた。まず父王にリカルドのことを報告に行くため。
城にある父王の執務室を訪れたら不在であり、書庫にいると聞いたのだ。
書庫に着くと、父王は机に座り書物を読んでいた。部屋の隅には従者もいる。
「王様、こちらでしたか」
声を掛けると、父王は気付きこちらに顔を向けた。
「あぁ、アンドレイか。どうした?」
アンドレイは、穏やかに問いかけた父王の元に歩み寄った。
「父上……軍事部の使途不明金についてですが、リカルド師匠が関わっていたと見られます……」
「……なんだと?リカルドが?」
「はい。証拠もこちらにございますし、証言も得ております」
「余に忠実であったリカルドが、なぜそのようなことを……」
「師匠の、隠し財産として蓄えられていたようです」
「まさか……あやつがさようなことをするとは……」
父王は、絶望のあまりか体勢を崩しそうになる。
「王様っ!大丈夫でございますか?」
アンドレイは慌てた。父王は病を患っているし、この様なことを聞かせて負担にさせることは、本当はしたくなかった。
しかし、王である限り父は知らなければいけないことなのだ。
「あぁ、大丈夫だ。その書類を見せてくれ」
父王に請われ、携えてきた証拠の書類を渡した。
「分かった……本当だったのだな。まことに遺憾だ……。あやつは、あやつのことは信頼していたのだが……」
「父上……」
父王は、頭を抱えて項垂れた。
ともだちにシェアしよう!