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第27話

翌日、アンドレイはルイを従えて宮廷の敷地を歩いていた。まず父王にリカルドのことを報告に行くため。 城にある父王の執務室を訪れたら不在であり、書庫にいると聞いたのだ。  書庫に着くと、父王は机に座り書物を読んでいた。部屋の隅には従者もいる。 「王様、こちらでしたか」  声を掛けると、父王は気付きこちらに顔を向けた。 「あぁ、アンドレイか。どうした?」  アンドレイは、穏やかに問いかけた父王の元に歩み寄った。 「父上……軍事部の使途不明金についてですが、リカルド師匠が関わっていたと見られます……」 「……なんだと?リカルドが?」 「はい。証拠もこちらにございますし、証言も得ております」 「余に忠実であったリカルドが、なぜそのようなことを……」 「師匠の、隠し財産として蓄えられていたようです」 「まさか……あやつがさようなことをするとは……」  父王は、絶望のあまりか体勢を崩しそうになる。 「王様っ!大丈夫でございますか?」  アンドレイは慌てた。父王は病を患っているし、この様なことを聞かせて負担にさせることは、本当はしたくなかった。  しかし、王である限り父は知らなければいけないことなのだ。 「あぁ、大丈夫だ。その書類を見せてくれ」  父王に請われ、携えてきた証拠の書類を渡した。 「分かった……本当だったのだな。まことに遺憾だ……。あやつは、あやつのことは信頼していたのだが……」 「父上……」  父王は、頭を抱えて項垂れた。

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