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第28話

そのまた翌日、アンドレイはルイと共にリカルドの仕事場である軍事部に向かった。彼に、事情を聴くためだ。父王からも全権を委ねられている。  城を出て暫く経った頃に、アンドレイは不穏な雰囲気を感じ取った。 「なんか、変だな」 「はい。何者かが潜んでいるような気配を感じます」  ルイも気付いていたようだ。けれど、どうなっているのか分からない。本当に曲者が潜んでいるかどうかも不明だった。 「お気をつけください、王子様」  ルイは、アンドレイを守るようにして周囲に警戒しながら進んだ。アンドレイの額からも、緊張の汗が流れる。  その時、静まり返った宮廷の道に刺客が現れた。木陰から複数人の刺客が、剣をを抜いてアンドレイ目掛けて脇から斬り掛かってきたのだ。 「王子様っ!!」  ルイが叫ぶよりも早く、1人の刺客がアンドレイの腕を斬りつけた。それを見たルイは自身も剣を抜き、刺客に斬りかかった。  刺客らは王子を負傷させたことで、捕縛された上で警察組織へと引き渡された。 「王子様!!ご無事ですか?」 「私は大したことはない。案ずるな」   アンドレイは腕を僅かに斬られただけで済んだが、一国の王子を襲い負傷させたことは重罪だ。  部屋に戻り、アンドレイはルイに傷口の手当をしてもらった。 「申し訳ございません。私が付いていながら……」  ルイはやや涙ぐんだようだ。 「なんだ……泣いているのか?」 「いえ。泣いてなどいません」  そう言いながらも、ルイは目元を拭った。 まさか、まさか自分のために心を痛めてくれているのか……。まさか、そんなわけがないか。 「夜は獰猛になるのに、泣くこともあるのだな」 「だから、泣いていないと言っているではないですか。それに、夜は王子様もその気になっていますよね」 「そ、それは……まぁ良いではないか」  相変わらず、アンドレイとルイは秘密の関係を続けている。つい、昨夜のルイとのむつみごとを思い出し、思わず赤面してしまう。 「それに、そなたは武官という訳ではないだろう。まぁ、今日のことは気にするな」 「しかし、王子様に怪我を負わせてしまったのは、私の失態です」 「そなたも刺客と戦ってくれたではないか」 「それは、最低限は私も剣の心得がありますので」 「そうだったか。心強いな。しかし、誰が刺客を送ってきたのだ……」 「そうですね。捜査をしますので、じきに判明すると思われます」 「あぁ……」

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