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第46話
ルイと求め合った次の日、午前の講義が終わった後にアンドレイはおもむろに呟いた。
「なぁ、ルイ」
「はい、何でしょう?」
「私たちは、その……気持ちを確かめ合ったばかりだが、いつまで関係を隠しておけるだろうか」
「王子様……」
ルイはアンドレイを凝視し、少しの間沈黙の時が流れた。
「王子様、さようなことをおっしゃらないでください」
ルイの声はいつになく悲し気だった。
「永遠にそなたと一緒にいたい。だが、いずれ誰かに知られ父上の耳にまで入ったら、きっと引き離されてしまうだろう。私は今、それが怖くてならぬ」
「えぇ。いつか、私たちのことを隠し切れなくなる時が来るでしょう。離れ離れになってしまうかもしれません。けれど、もしそうなったとしても、私の心はあなた様と共にいつづけます。永遠に」
「ルイ……」
その言葉に、心が温かくなると共に締め付けられる。
「しかし、できるなら離れ離れになどなりたくない」
アンドレイはルイの服を両手で掴みしがみ付いた。
「それは、私も同じです王子様。密かに、私たちの時間を紡いでいきましょう。誰にも邪魔されないように……」
そのルイの言葉に、アンドレイはコクリと頷く。
本当にそうできるのか不安は残ったが、ルイの言葉に安心感を覚えた。
その後、昼食の用意があるからとルイが部屋を出ていこうとドアを開けると、そこにはアンドレイの妹、ユーリが立っていた。
ユーリの姿を発見したルイは、目を丸めて冷や汗をかいている。
「お、王女様……」
ルイはその場から動けなくなってしまったようだ。
「ユーリ……どうしてここに?」
アンドレイも気付き、焦りを隠しつつ聞いた。
「え?あ、あぁ……あの、兄上のお顔が見たくて……お昼でも一緒にと思って……」
明らかに動揺している。その理由は……。
「まさか、今の話を聞いて?」
「……えぇ。ちょうど聞こえてしまって」
傍らでは、ルイが不安そうに成り行きを見守っている。
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