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第54話

「……一年前に?では、そなた一人で生きているのか?」 「そうだ。蹲ってると、たまに店の人が食べ物くれるから……でも、最近はもらいにくくなってる……」 「ここの状況を見ればそうだろう。皆、そなたに分け与える余力もないはずだ。よし、隣街に店があるから、そこで食べるが良い。私が払おう」 「よろしいのですか?」  傍らのルイが、心配そうに小声で聞いてきた。 「大丈夫だ。心配するな」  アンドレイはルイの肩に手をポンと置いた。 「い、良いの……?」 「あぁ。少し歩くが大丈夫か?」 「うん……」  逡巡した少年が頷くと、三  ロビーは再度聞いてきた。 「遠慮せず食べるが良い。食べねば生きていけぬぞ」 「僕なんて……生きてる意味ない」 「何を言う。そのようなことはない。そなたの人生はこれからではないか」 「良いことなんてないし」 「何があるかは分からないものだ。悪いことばかり起こるわけではない。とにかく、食べよ」  そう説くと、ロビーはコクリと頷いた。そして、腹に優しそうな粥を食べた。 余程腹が空いていたと見えて、ロビーはあっという間に完食してしまう。

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