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第62話
次に意識を取り戻し目覚めた時には、アンドレイは知らない場所で寝かされていた。
『私は生きているのか……』
そんなことを考えながら辺りを見回してみても、一切見覚えがない部屋だ。
陽は昇っているようで、辺りは明るい。白い天井と壁、豪華な調度品。調度品はアンドレイの城にもあるが、どれ一つとして見たことのないものばかり。
「ここは、一体どこだ……?」
一気に、アンドレイを不安が襲う。冷や汗がアンドレイの頬を伝った時、部屋のドアが開いた。
「お目覚めですか、王様」
そこにいたのは、クラウド王だった。
「なぜあなたが?」
「私がお連れしたのですよ」
「ここは、ここは一体どこです?」
「まぁ、そう焦らないでください」
「ここはどこなんですか!」
アンドレイはまだ気分が優れないが声を一段と張り上げた。
「ウルバヌスの城ですよ。私の居にお連れしたのです」
そう言いながら、クラウド王が少しずつアンドレイのいる寝台に近付いてくる。
要するに、二人で飲んで後に酒に仕込んだ薬で眠らせ自身の国へと連れてきた。そして、朝が訪れたということか。
「私は我が国を不在にするわけにはいきません!」
「そうおっしゃらずに」
アンドレイの目の前までやってきたクラウド王は、容姿端麗な顔を近づけてきてアンドレイの顎に指を添え、間近で碧い目を合わせてきた。
「こうするより他なかったのです。お許しください、王様」
顎から指を外し、クラウド王はアンドレイの隣に座った。
「ラティーナ国も、私の領土として治めるつもりで王様をお連れしました。どうしても、あなたが欲しかったから」
やはり、国を乗っ取るつもりなのか。そして、自分は捕虜となったのか。アンドレイは悔しさに押し潰されそうになった。
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