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第73話

その一月後、アンドレイの妹であるユーリの結婚が決まった。  相手は東側にある国の公爵だという。 ユーリも初めは拒否していたのだが、一度会ってみたところ彼の優しさに惹かれたようだ。  幸せそうなユーリの顔を見ると、アンドレイは自分の心まで満たされる。  それと同時に、“お兄ちゃん子”だった妹が愛する人を見付けたこと、良家に輿入れできることに安心する。  それから三ヶ月が経ち、ユーリの結婚式が相手の国で開催された。 もちろん、アンドレイもルイを連れて出席した。すると、義理の弟となる公爵から恐縮されてしまった。 「王様、本日ははるばるご足労いただき誠にありがとうございました」 「いえ、妹をどうぞよろしくお願い申し上げます」 「お任せください。ユーリ姫のことは、生涯大切にいたします」  その言葉を聞き、アンドレイは安心した。 「兄上、私、幸せになりますね」 「あぁ。公爵殿に迷惑をかけるでないぞ」  ユーリの頭をポンと叩いた。 「迷惑なんてかけませんよ」  ユーリが顔を少し赤らめた。

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