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第77話
その後、ルイはアンドレイを立たせて壁を背に後ろから攻め立ててきた。
「あぁっ……ルイっ……ルイ……」
アンドレイの中心からは、愛の蜜が次々に零れていく。
「何でございますか?王様っ……」
アンドレイを穿ちながら、熱が籠り切迫した声で尋ねてきた。
「私は……もうダメだ……耐えることができそうにないっ」
「私もです、王様……。今直ぐにでも……王様に解き放ちたいほどです……」
ルイのものは、アンドレイの中で限界を迎えている。
「ならば、一緒に……」
「よ、よろしいのですか?私などと……」
「いつも、私の方が先に達してしまうことが多いだろう……」
「そうでしたね……私で悦くなってくださっている王様を見るのは楽しいですが」
「私は……そなたと一緒に達したいのだ……だから、そなたも……」
「分かりました……」
そう言うと、ルイは一際激しく打ち付けてきた。アンドレイもその時が迫っている。息を乱しながらルイは「愛しています、王様」とうわごとのように言いながら、アンドレイの中に精を放った。それと同時に、アンドレイも達した。
「そなたがいれば、他に何もいらぬ……ただ一人の男として生きられたら、どれほど楽であろう……」
夢心地で微睡(まどろ)みながら、アンドレイは呟いた。
「王様は国家の王ではありますが、私にとってはお仕えする以前に一人の男でございます」
「そう、か……?なら、私を名前で呼んでくれ」
「え?」
隣で横たわるルイは、目を丸くした。
「一度で良いから、アンドレイと呼んで欲しい」
「よ、よろしいのでしょうか」
躊躇するルイに、アンドレイは頷いた。するとルイは決心したらしく、アンドレイの名を初めて呼んだ。
「アンドレイ、様……」
それを聞き、アンドレイはルイの胸に顔を埋めた。
「やっと叶った……その名をそなたの口から聞くことが……」
「恐悦至極でございます、王様」
ルイは目を潤ませた。
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