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SS:その後の諸事情1

『その後が読みたいと嬉しいお言葉をいただけましたので、その後を少しだけ』 【SS:その後の諸事情】 穏やかな俺達の諸事情は、今日も緩やかに変化している……らしい。 「あれ、笠根は?」 購買から一人で戻ってきた俺に松原は首を傾げた。 先に屋上へと足を運んでいた松原と黒島の弁当は既に半分程に減っている。 「パン買うとこまでは一緒だったんだけど、何か用あるから先に行っててって途中で分かれた」 いつもの定位置に腰を下ろして、買いたての冷たい牛乳へストローを突き刺す。 「ふーん……告白かな?」 「告白だろうな」 まさに牛乳を吸い上げた瞬間、二人から発せられた言葉に思わず咳き込んでしまって、松原からは「汚い!」と非難の声が飛んでくる。 「こ、告白?笠根が?」 え?だってアイツ、俺の事好きって……。 「笠根がって言うより、笠根にだと思うけど。なあ?」 松原の投げ掛けに唐揚げを咀嚼していた黒島は無言で頷きを返す。 そっか、そっちか……。 「…………笠根ってさ、実はモテる、のかな……?」 「萩、今更ーぁ?何年幼馴染みやってんだよ?」 「いや何か近すぎて考えてなかったって言うか。そんな飛び抜けてイケメンって訳でも……」 「萩は見慣れてるかもしんないけどさ、笠根って結構顔整ってる方だと思うぜ?そりゃ俳優顔負けってまではいかないけどさ…………って何だよ、奏吾。そんな睨むなよ、怖い」 …………そうなんだ。 笠根っていつの間にかイケメンになってたのか。いやだってさ、俺ら幼稚園の頃から一緒なわけだよ?見慣れ過ぎってか最早兄弟みたいなもんで……そんな目線で考えたこともなかった。 「で、でもさ!笠根ってほら、何事にもやる気ないって言うかさ」 「そこがまた人気なんじゃないの?クラスの女子が言ってんの聞いたことあるし。男が思う格好いいと女が思う格好いいは違うって言うし――わっ、ちょ、奏吾!馬鹿!くっつくなよ、めし食えねーって!」 あからさまに不機嫌になった黒島が松原を捉えて「じゃあお前の思う格好いいは?」何て問い詰め始めたけれど、今の俺にはどうでも良かった。 この前の研修旅行の時からそうかなとは思っていたけど、やっぱり笠根はモテるんだ。そっか、モテるんだ……ふーん……。 幸か不幸かちょうどそのタイミングで笠根が屋上へと姿を見せた。 いつも通りに欠伸を携え、俺の隣へ腰を下ろすと早速野菜ジュースを口にする。 その横顔をジーッと観察していると、視線に気づいた笠根は袋からもう一本野菜ジュースを取り出して俺へと差し出した。 「飲みたいの?」 「……いらない、牛乳あるし」 「そ?じゃー、そんなに見つめてどーしたの?」 野菜ジュースを袋に戻した手が、今度は俺の頭に上に。 わしゃわしゃと髪を掻き混ぜる。 「ちょ、やめろ!」 「はは、だって可愛い顔してるんだもん」

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