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03-4.悪役令息は愛されている
「あ、あ、ああああっ!!」
言葉にならない声が上がる。
反射的に身体が飛び上がろうとする。痙攣を引き起こしたかのように震えあがり、ダニエルの意思とは反して刺激から逃げようと動こうとする身体はフェリクスに押さえつけられたままだ。
「ああああっ!!」
ダニエルの弱いところばかりが刺激される。
言葉にならない喘ぎ声をあげるダニエルの今にも射精をしそうな男性器にフェリクスの手が触れた途端、ダニエルは達してしまった。強すぎる刺激により身体は震え、閉じられていたはずの目が見開かれている。
しかし、ダニエルの身体には精液はかかっていない。
射精をする直前にフェリクスは男性器の根元を握ったことにより、射精できなかったのだ。前立腺だけの刺激で達してしまったことにより頭の中が真っ白になるような快感に襲われる。
「よかったな? かからねえようにしてやったぞ」
ダニエルにはその声が届いていないのだろう。
「連続でイクと気持ちいいだろうな」
それは悪魔のような囁きだった。
まだ中イキをし続けているダニエルに追い打ちをかけるように、ゆっくりと男性器から手を離す。すると、解放されたというかのように精液が飛び出し、ダニエルの腹や胸、頬を汚していく。
「……エロいな」
白目を向いて痙攣をしている様子は辛そうにも見える。
フェリクスは唇を舐める。それからダニエルの両足を自由にするようにゆっくりとベッドに下ろしていく。力の抜けているダニエルの足を曲げ、準備をしてから身に着けているズボンと下着を脱ぐ。
「ダニエル? 戻ってきたかぁ?」
ダニエルの頬を少しだけ叩きながら声をかける。
一瞬、白目を向くほどに痙攣をしていた身体の震えは収まりつつあり、視線も定まりつつある。
「大丈夫か?」
フェリクスの問いかけに対し、ダニエルは僅かに瞬きをした。
「……もん、だい、ねえ」
「そりゃあ良かった」
言葉には力はなかった。
それに対してフェリクスは慣れたような返事をする。
「今度は一緒にイこうな?」
先ほどまで指が入れられていた場所に、フェリクスの男性器が当てられる。そして、それはゆっくりとダニエルの中に入っていこうとする。
解していたとはいえ、全部は入りきらない。
「ひっ、あっ」
「狭いな」
「無理に、いれんじゃ、ねえっ!」
「入りきってねえよ?」
「知るかっ! ひっ、あっ、んんっ、でかくするんじゃねぇっ」
それでも男性器の半分くらいは入っただろうか。
その奥に進もうとするかのようにフェリクスはゆっくりと腰を動かし始める。
「はは、無理を言うなよ」
フェリクスはダニエルの首元を舐める。
ゆっくりと動きながらもダニエルの前立腺を擦る。
「すぐにでもイっちまいそうなくらいだってのに」
「はっ、んっ、この、早漏、野郎っ」
「散々煽ってそれはねえだろ?」
「しる、か!」
「酷いことを言うんじゃねえよ。ダニエルだって奥に出してほしいだろ?」
「ひゃっ……!? あ、あ、や、やめ」
フェリクスの問いかけに応える余裕はないようだ。
連続で達したばかりの身体は快楽に弱い。少しの刺激でもすぐに達してしまいそうになる。腹の中に侵入をしようとする男性器の圧迫感と異物感ですらも、心地が良い快楽へと変わっていく。
「んっ」
フェリクスはダニエルの身体に口付けをする。
それにすらも愛らしい声をあげて反応をしてしまう。
「愛してるぜ、ダニエル」
「うる、せえっ」
「はは、照れんなよ」
「いいからっ! そこ、ばっか、やだって!」
ダニエルは辛そうな表情を浮かべる。
それからフェリクスを煽るように力の入りにくい腕をあげて、彼の肩に腕を巻き付ける。抱き着くような姿勢をとったからだろうか。狭くて奥まで入るのには時間がかかりそうだったフェリクスの男性器はダニエルの中に入っていく。
「んんっ、ふ、ぁっ」
普段の悪態ばかりをついている表情とはかけ離れていた。
与えられる快楽を受け入れ、蕩け切った表情だ。
「奥に出せ、よっ、フェリ、クスっ」
受け入れている側とは思えない強気な発言だった。
フェリクスは我慢の限界を迎えたのだろう。ゆっくりとした動きをしていた腰が次第に早くなる。ダニエルの望みを叶えるかのように奥を抉るように腰を振る。それに対し、ダニエルは蕩け切った表情のまま、喘いでいた。
腰を打ち付ける音と水音が鳴り響く。
それに合わせるかのようにダニエルの甘い声が聞こえる。フェリクスは興奮を隠すかのようにダニエルの唇を塞いだ。
……あ、やべぇ……。
口腔内も腹の中も混ぜられているような感覚だった。
苦しいとすら感じてしまうのにもかかわらず、それ以上に気持ちの良い快楽が頭の中を支配する。舌を絡め合い、唾液は零れ落ちる。それすらも不快感はなく、ただ、ただ、頭の中が真っ白になる。
頭の奥底で警鐘が鳴らされているような気分に陥る。
このまま、中に出させてはいけないと冷静に考える部分は消えつつあり、快楽を享受し続けることが正しいのだとすら思えてくる。
「あ、……んっ」
唇が離された。
思い出したかのように酸素を取り込む。
「はぁ、中に出すぞ」
「んっ」
フェリクスの宣言にダニエルは頷いた。
叩きつけるかのような動きにダニエルは悲鳴にも近い声をあげた。反射的にフェリクスに抱き着いている手に力を籠める。それに応えるようにフェリクスもダニエルの身体を抱きしめた。
二人が達するのは同時だった。
身体の奥に温かいものが注がれている感覚を味わいながら、ダニエルは何も考えられなくなる。達したばかりだというのにもかかわらず、再び、ダニエルの腹の中で存在を主張するように大きくなった男性器を締め付けるように中が痙攣をしていた。落ち着く間もなく、フェリクスは再びダニエルを求めるかのように動き出した。
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