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06-3.他人の理解など必要はない

「ひっ! んんっ」  声を抑えようとするが快感に抗えない。  与えられる快感から逃げようとするかのように無意識に腰が動く。布越しに陰茎を擦り合う形になってしまっていることに気付いていないのだろう。  ダニエルは真っすぐに向けられているフェリクスの視線から逃れるように目を閉じた。 「ダニエル」  名を呼ばれる。  それすらも快感として拾ってしまう身体が火照っていく。 「すげえ吸い付いてくるんだけど。指じゃあ足りねえだろ?」  フェリクスは指を二本に増やす。 「なあ、ダニエル。自分で入れてみろよ」 「は?」 「こうやって入れやすいようにしてやるからさ」 「ひっ!?」 「指だけじゃ足りねえだろ?」  ダニエルの目が開けられた。  視界に映るのはご機嫌な様子のフェリクスだ。その間も前立腺を刺激する指の動きは細かく、ダニエルを煽るかのように一番気持ちの良い刺激だけは避けられている。 「騎乗位でヤりたいんだろ?」  ……そういうわけじゃねえんだけど。  心の中で言い返す。  しかし、焦らされているからだろうか。中途半端な刺激を与えられただけで火照ってしまっている身体は布越しに当たるものを求めてしまっている。  視線を股下に向ける。  下着越しに擦り合う状態になってしまった互いの陰茎は激しく主張をしている。いつもならば、ダニエルの体内で好き勝手に暴れているフェリクスの陰茎を見て、思わず、息を飲む。 「……指を抜けよ」  欲望には抗えない。 「耐えられねえのはお前だろ? フェリクス」  強がってみせるものの、我慢の限界だった。 「ひっ、んっ」  ダニエルの言葉に従うかのようにフェリクスは指を抜く。ゆっくりと抜かれた動きすらも快感となり、達しそうになるが、堪えた。 「はっ、先走ってるじゃねえかよ」  ダニエルは腰を浮かし、フェリクスの下着を脱がす。  脱がしやすいようにフェリクスが動いたことには気づいていたものの、気づかなかったことにした。それよりも、勃起している陰茎に目がいってしまう。  ……これが中に入るのか。  日頃から与えられている刺激を思い出してしまう。  勃起しているフェリクスの陰茎を軽く指でつつく。そして、挿入しやすいように姿勢を整える。その際、半分脱がされていた下着を脱ぎ、ベッドの下に落とした。  何気ない仕草もフェリクスに見つめられているだけで興奮材料になる。 「んっ」  迷うことなく、自身の穴にフェリクスの陰茎を挿入しようとしたのだが、上手く入らない。 「動くんじゃねえよ」  さりげなくフェリクスが悪いように言ったものの、フェリクスは笑っているだけだった。 「気持ちよくしてやるって言ってんのに」  挿入をしようとするのだが、手が滑ってしまう。  焦らされているかのようだった。何度か挑戦し、先端が穴に入る。  ……奥まで入れるのか?  何度も奥を掘られているのだから入らないことはないだろう。  ゆっくりと腰を下ろしていく。強引に挿入される時とは違い、緊張をしているのか、ゆっくりと身体の中に侵入をしていく快感は気持ちいいが、どこか物足りない。 「まだ半分しか入ってねえんだけど?」  ダニエルの尻を両手で掴む。  尻の感覚を楽しむかのように揉むフェリクスは余裕があるようだ。 「うる、せぇっ」  ゆっくりとした動きではあるが、腰を動かしていく。  身体はフェリクスを求めている。しかし、自ら進んで出し入れをするのは初めてだった。 「んっ、焦らしてやってんだよ」  意識を飛ばさないようにする為には、前立腺への刺激を避けるしかない。フェリクスに仕込まれた身体は少し刺激にも敏感に反応をする。 「ふうん?」  尻を撫ぜていた手が腰に伸びる。  それなりに鍛えているのにもかかわらず、細い腰を掴むとダニエルはくすぐったそうな表情を浮かべた。 「なあ、ダニエル。キスしようぜ」 「んっ、してやってもいいぞ」 「素直なダニエルも可愛いなあ」 「可愛いって言うんじゃねえ!」 「はは、悪いって。ほら、ダニエル、機嫌を直せよ」  フェリクスは腰を掴んだままだ。  キスをしたいと言いながらも動こうとしない。 「……しねえのかよ」 「届かねえんだよなぁ。ダニエル、もっと近づいてくれねえか?」 「仕方ねえな。ちょっと待ってろ」  場所を選ばず、キスをしようとしてくるフェリクスが動かないことに違和感を抱く。仕方がないと言いたげな顔を浮かべ、ダニエルは少し身体を動かそうとした時だった。 「ひぃあっ!?」  甲高い声が出た。  一瞬で頭が真っ白になった。突然、身体を貫くような刺激を受け、射精が止まらない。  軽い痙攣を起こしているのではないかと思うほどの刺激は一瞬で終わり、状況を理解することのできないダニエルは蕩けたような表情を浮かべたまま、何度も瞬きをしていた。  余裕のあったはずの陰茎はダニエルの身体の中に納まっている。  腰を掴んでいたフェリクスによって強引に中に入れられたのだと理解したダニエルは真っ赤な顔で睨みつける。 「遠くなっちまったなぁ」 「なっ!? ひっ、やっ、あっ、あっ!!」  フェリクスに対して言い返そうと口を開いたが、下から突き上げるような動きに対し、喘ぎ声しかでなかった。 「んぁっ!」  完全に油断をしていた。  閉じることを忘れたかのような口から洩れるのは喘ぎ声だけだ。  ダニエルの腰を掴み、強制的に上下させられる。強引に腹の奥を探られる動きとは違い、痴態を見られながら行われる動きに興奮をしたのだろうか。射精したばかりのダニエルの陰茎は元気を取り戻していた。

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