そう、だった。 「はぁ、はぁっ……あっ、はぁっ」 　王様、みたいな人だった。誰よりも気品があって、誰よりも強くて。 「雪」 「あっ」 　誰よりも我儘な人。そして、毒を盛られたら、その毒さえ味わって飲み干してしまうような人。僕がどうしようもなく好きになってしまった人は、そんな人だった。 「はぁっ、あっ」 　身体が熱くて、おかしくなりそう。 「すげ……こんなの合法でいいのかよ。はっ」 「あっ……」 「やばいな……」 　環さんはそう呟いて、険しい表情をしながら、前髪を雑にかき上げた。 　環さんも熱くてたまらない？ 「雪」 　僕は、熱くてたまらない。 「環、さん……ンっンンっ」 　齧り付くような激しい口付けをされて、身体の奥が切なくてたまらなくなる。きゅうって、そこが力んで。その切なさをどうにかしたくて、服を皺くちゃに握りしめた。 「キスでイッてる」 「あ……だって」 　小さく、唇にキスをしながら、環さんの長い指は抗う僕を簡単に押さえ込んで、服を簡単にはぎ取るとドロドロになった肌を弄って遊んでる。 「や、ぁ……」 「二回くらい、イッたか？」 「わ、かんな……あっ」 「見せて」 　恥ずかしいのに、今、服と一緒に、理性もぎゅっと握りしめているのに。 「……雪」 「あっ……」 　それも剥ぎ取るように、環さんが僕のつま先にキスをした。足首に歯を立てられるとたまらなかった。膝に唇が触れると、震えてしまうほど気持ち良かった。太ももの内側にキスマークをつけてもらえるととても嬉しくて。 「とろけた雪が見たい」 「……ぁ」 　理性ごと服を――。 「見せて」 「あっ……環、さんっ」 　剥ぎ取られて、そのまま僕だけの王様に可愛がられたくてたまらないと、しがみついた。 「あ、あ、あ、あっあぁあっ！」 　奥をクンとノックされて、背中を反らせて甘い悲鳴をあげた。 「雪」 「あっ」 　肩に歯を立てられて、環さんのに中がきゅうってしゃぶりつく。 　どこを触られても、どこにキスをもらっても、今は快感がすごくて、何度も何度も達してしまう。壊れちゃったみたいに、止まらなくて。 「あ……ン、おかしく、なる」 「なっていいよ」 「……ぁ、環、さん」 「なれよ」 　四つん這いで、獣みたいに貴方と繋がった身体を身悶えさせて、とても恥ずかしいのに。 「仕事をしている時の澄まし顔」 「ン……」 　振り返るように頬に手を添えられて、今、こんな顔見られたくないのに、振り返るしかなくて。呆れられてしまいそうなほど、蕩けきった顔、してるのに。 「さっきの電話の時の声、厳しい声してた」 「あっ……ン」 　口付けられながら、深いところを環さんの熱で抉じ開けられて、中をかき混ぜるように奥まで貫かれたら、媚びた甘い声が零れ落ちた。 「スーツ姿はストイックで、知ってるか？　まさに高嶺の花」 「やぁ、あ、深いの、またイッちゃう」 　そして、ゆっくりなのに奥まで全部貴方のでいっぱいになっただけで、また前から蕩けた熱が溢れるように滴り落ちた。 「俺しか見たことのない、お前の顔」 「あっ」 「見せろよ」 「ン……あっ、変、僕、おかしい、の」 「？」 　もっとしっかり振り返って、柔らかい身体をくねらせて、貴方のペニスに奥までこじ開けられながら何度も達してしまうそこをもっと見せつけるように手を添えた。 「こんな僕、貴方には、見られたく、ない、のに」 　もっとしてって、指で、貴方のペニスを撫でて、咥え込んだ孔を広げる。 「貴方が、こんな僕を見ても、呆れないでいてくれてるの、嬉しい」 「……」 「誰よりも見られたくないのに」 　奥、来て欲しい。 　もっと奥のところ。 　入っちゃダメなところ。 　怖いけれど。 「貴方に見てもらいたくて……ぁ」 　貴方に入って欲しい。 「ったく」 　貴方にそこを犯されたい。 「俺も媚薬飲んだの忘れたのか？」 「……ぁ、や、抜いちゃ」 　抜けてしまうと切なくしがみついた僕に苦笑いを溢して、環さんは浅いところで繋がったまま、僕をぐるりと振り向かせて。 「あっ！」 　そのまま、また貫いてくれた。 「ン……イッちゃう」 　ただそれだけでお腹の上にとろりと熱が滴り落ちて、窪んだところに蜜溜まりを作ってしまう。 「まだだからな」 「？　あっ」 「明日、ベッドから出られなくなるぞ」 　貴方に。 「あ、あ、あ、ダメっ……そこっ」 「雪」 「あ、あ、あぁぁぁっ」 　めちゃくちゃにされたい。 「あ、あ、あ、あンっ」 　抱き締められながら何度も何度も奥を突かれて、その度に、ずっとイッてる。ずっと、達してる。それなのに、環さんは追撃をやめずに僕を追い立てて。 「あ、あ、あ、イクっイクっ」 「雪」 「あっ」 　環さんのが中で暴れて。 「ン、あっ」 　激しく何度か揺さぶられて、根本まで全部捩じ込まれた瞬間――。 「あっ！」 「っ」 「……あっ」 　中が熱い。 「雪」 「？　……ンっ」 　中に注がれながら、キスで口の中もかき混ぜられた。 「ベッドから出られなくなっても」 「っ、ん……ン」 　絡まり合った舌先が解れると、透明な糸が唇同士を繋げて。 「俺が一日可愛がってやるから」 「あっ、あ、あ、あ、今、イッてる、のっ」 「安心して、善がれよ」 　とても、とても気持ち良くて。 「あっ……」 　刺し貫かれて、貴方の背中に必死に爪を立てた。 「俺の、お姫様」