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初旅行編 4 濡れて、滴って

 二人して水の中へ盛大な水飛沫を上げながら転がった。 「ごめんなさい……濡れちゃった」 「あぁ、そうだな」  足を滑らせて石畳から落ちてしまった。そう深いところじゃない。膝にも届かないほどの浅さ。だから、はしゃいで酔っ払った僕だけ濡れたなら構わなかったのに、環さんまでびしょ濡れで。というか、環さんが僕の下敷きになってしまったからひどく濡れたのは環さんの方で。 「水も滴るってやつだろ?」  手をついて、僕の下敷きになったまま濡れ髪を掻き上げる彼の顎のラインを水滴が伝っていく。 「そう、ですね」  その様子にゾクゾクした。まさに、水も滴るって……いう。 「環さん……」  そして、その雫にキスをするように、彼の顎に唇で触れると、雫が伝って。 「酔っぱらい……」 「はい。酔っ払ってます」 「っぷ、珍しいな。そこは素直なのか?」  うん。  そう、酔っ払いだから、いつもなら強がってみせるところも、理性で隠す本性も今はほろりと肌蹴て見えてしまう。  貴方に触りたい。  だって、忙しかったでしょう? 僕も、貴方も。  この旅行のために、僕も予定が詰まっていたし、貴方も大事なお仕事を抱えていたようだから。  だからこうして触れるのはちょっぴり久しぶりで。 「あっ……ん」 「身体も素直……」  背中から背筋を辿るように撫でられて、長い指がズボンの上から腰のラインを確かめるように撫でる。 「ん」  尻の割れ目をなぞられて、びくんと反応してしまった僕は彼にしがみついて、甘く啼いた。 「雪」 「あっ……」  バーベキューとっても楽しかった。でも、ずっと待ってたから。 「環さん……っ」  襲いたくなるって言ってたのに、襲ってくれなくて。宿についても、楽しそうにしてる貴方の笑顔を邪魔できないし。嬉しいけれど、焦ったくて。楽しいけれど、僕はジリジリしていて。 「シャワー浴びたら、して」  腕で彼の首にしがみつきながら、縋るように身体を擦り付けた。火照って仕方ない身体を擦り付けて、こんなに熱いって、訴えて、欲しくてしかないと、素直に欲しいものを口にした。 「ね……して、ください」 「ヤダね」  え? って、目を丸くしてしまった。  環さんが欲しいって、素直にねだってしまったら、それを断られてしまったって。まだお預けをされるのかって。 「もうびしょ濡れになったんだ」 「? ! わっ、ちょっ、待っ……降ろしてっ」  でも、環さんはそんな俺を軽々と抱え上げ、肩に担ぐようにしながら落ちてしまった水の中を歩いてく。 「せっかくのジャグジープールだ」 「!」 「入ろうぜ」 「わっ! っ…………ンっ……っ」  派手な水飛沫を上げながら、そのまま水の中にダイブした。 「ン、っ……あっ、環、さんっ」 「雪」 「あっ……」  濡れた服を捲り上げられ、乳首に一つキスをされた。そのキスに甘く啼くと、僕の腰を引き寄せたまま、環さんがじっと僕のことを見上げて。 「……」  小さく微笑む。 「あっ……ン」  服を着たまま泡が吹き出すプールで抱き合いながら、夜に入っても寒くない程度に、そこまで冷たくはないけれど、でもお風呂よりは冷たいちょうどいい水の中だと、互いの身体の熱がとてもよく伝わる。  環さんの、すごく熱い。  それに、もう……こんなに。 「待ってろ。ローション、置いてきた」 「ぁ、はい」  そして水音を立たせながらプールから上がると、そのまま部屋へと戻り、また、今度はワイングラスを二つ、それにスパークリングワインのボトル、後、もう一つ……。 「さっき、もう一本飲むって言ってたろ?」 「ぁ」  注いでもらったグラスを受け取り、口に含むと、パチパチと炭酸の泡が口の中を刺激する。 「俺にも一口」 「あっ……」  僕のグラスを奪うと、一口飲んで、そのまま剥き出しの僕の乳首にさっきの続きのキスをしてくれた。 「やぁっ……っ」  炭酸の刺激に、身体が跳ねる。口に含んでいたスパークリングワインの中で乳首を舌が突いて、はしたない愛撫にゾクゾクした。 「あンっ……ぁ、環さん」  そして、そのままたっぷりと口の中で可愛がられた乳首は、長い口付けから解放されると、濃いピンク色をしていた。 「環さん」  今度は、僕の番でしょう?  びしょ濡れのパンツに手で触れて、熱くて硬い環さんのそれを撫でてあげた。 「口でしてもいいですか?」  そう尋ねて環さんに唇にキスをした。差し出された舌にしゃぶりついて、擦り付けながら、彼の手が前をくつろげてくれる。そして、下着を、今度は僕が引き下げて、飛び出たそれに指を絡めながら。 「ン」  唇から、顎へ、僕のより大きく目立つ喉仏に、鎖骨、逞しい胸に、引き締まったお腹に、キスをして。 「ン……む」  そそり立つ環さんのに口付ける。 「ン」  熱くて。 「ンンっ……ン、ん……ん」  大きくて、硬くて。 「すげ……っ」  太いそれに丁寧に口付けて、手を添えながら、根元に顔を埋めて、そこから舌を這わせながら先の丸いところまでなぞって上げる。しゃぶりついてゾクゾクしている僕を眺めている貴方を見上げながら。  環さんは夢中になって口で奉仕する僕を見つめながら、スパークリングワインをまた一口飲んで、それから僕にも。 「雪」  名前を呼んで、髪を撫でてくれる貴方に促されるまま首を伸ばすと。 「ン」  口移しで注がれたスパークリングワインの刺激さえ今は快感になる。舌が痺れて気持ちいい。 「もっと、環さん……」  そして、もっと濃厚でやらしいキスに、喉奥が熱くなった。

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