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恋する花たち 3 媚びるのが下手で、甘えるのが下手で、可愛い人
拓馬さんと、出会ってからの兄のほうが良いと思う。
それに、拓馬さんも最初の印象の彼よりもずっとずっと魅力的だと思う。
恋で、あの二人が変わったのなら。
僕も――。
「っ、あっ……あぁっ、や、僕が動く、から、環さんは、じっとしてっ、っ」
変わったの、かな。
兄の楽しそうな笑顔のように。
拓馬さんの可愛いと僕でも思う表情のように。
僕も。
「あっ、あっ、待、突き上げちゃ、やっ」
魅力的に、ほんの少しでもなれてたらいいなって、思うんだ。
「ゆーき」
「?」
環さんが笑いながら、僕とは全く違う硬くて腹筋壊れたお腹に股がる僕をそのまま抱き抱えて起き上がった。
「あっ、ンっ」
その拍子に環さんのが僕の蕩けた内側を撫でていくのがたまらなく刺激的で、甘い声が勝手に上がってしまう。急にはイッてしまいそうになるからダメなのに。自分ではそこまで挿れられない奥を硬い環さんので刺激されて、達してしまいそうになる。でもまだヤで。まだ、環さんとこうしていたくて、どうにか堪えようと、肩に思わずしがみついた。
引っ掻いてしまいそうになる。
けれど、しがみついてないとイってしまう。
環さんに跨って、快感に困っている僕を眺めて、楽しそうにしながら、深く息が止まってしまうくらいのキスをしてくれる。
「ン、ん……ン」
「今の顔」
「?」
「何考えてた?」
「あ、僕、変な顔、して」
「んー……なんか、欲しそう」
「あっ! あ、待っ」
「何、欲しい?」
「あぁっ」
言いながら、環さんの大きな手が僕の腰をしっかりと掴んで、グッと、奥まで入って来る。
「奥?」
「あ、そこ、ヤっ、もう、イっちゃうっ」
「じゃあ、こっち?」
「あ、あ、あっ」
今度は乳首を撫でてくれた。腰を掴んでた手は肌を滑るように撫でて、脇腹を支えるように掴み、親指で、敏感になってる乳首をクリクリって、撫でて可愛がってくれる。
「ん、んんんっ」
奥に環さんを感じながら、乳首をそんなふうにいじられると、たまらなくて。
「あ、あ、っ」
ダメ。
イっちゃう。
「環っさんっ」
気持ちいいって、環さんの太いのをキュッと身体の奥が吸い付くように、締め付けてしまう。
「やっと、集中した」
「あ、あ、して、る」
「なんか、考えてたろ」
「考えて、なっ、いっ」
「腕、しっかり掴んで」
「あぁっ」
指で可愛がってもらった乳首を今度は環さんの舌に撫でられて、おかしくなりそうに気持ちいい。
「あ、やぁっ」
乳首にキスされながら、奥を小刻みに擦り上げられると、もう。
環さんの黒髪をくしゃくしゃにしてしまうほど、胸をいじってくれる彼の頭を抱き締めて、奥ももっとたくさんめちゃくちゃにされたくて、脚を大胆に開いていく。
「っ、すげ、雪の中」
「あ、あ、あ」
やらしい音が寝室に響く。
貴方のを奥深くに咥えながら、まるで唇でしゃぶりついてる時みたいに、僕の身体がやらしく絡み付いてる音。
貴方が、そんなふうに好きな人に媚びてしまう、やらしい僕の身体をたくさん突いてくれる度に軋むベッドの音。
「俺のことだけ見てろ」
「あ、あ、見て、るっ」
貴方しか、見ていないもの。
「あ、あぁっ、ダメ、環さんっ、もう、イっちゃうっ」
「いいよ」
「あ、あ、あっ」
僕の中に貴方がいることがたまらなく嬉しい。
僕の中で、貴方のがとても強靭になってくれるのが嬉しい。
僕は、貴方にいつだって夢中で。
「あ、もっと、突いてっ」
「っ」
「環さんっ、お願い、僕、あ、あ、あ、イっちゃう」
僕はいつだって。
「イっちゃうっ、イきたいっ」
貴方が好きでたまらない。
「あ、イクっイクっ、あっ………………っ」
「さっきの……」
セックスの後のふわふわとした幸福感が心地良くて、まるで真冬のベッドの中から出て来られないぐーたらのように、潜り込んでいた。
「他のこと、考えてたわけじゃないです」
布団に潜り込んで、余韻にふわふわになりながら、ベッドに水を持って戻ってきてくれた環さんに伝えた。
貴方に抱いてもらえてるのによそ見なんてするわけがない。貴方以外のことを考えるわけがないもの。
「ただ……」
ポツリと呟いた。
僕は、じっとこっちを見つめる環さんの視線から逃れるように、布団の中に潜り込んだ。
「ただ、その……」
言ったら笑うと思う。
きっと、そんなことを思ってたのか? って、笑って、ちゃんと可愛いよって、言ってくれる……と、思う。なんだかそれじゃ、僕はあざとい女性のようだ。好きな恋人にかまってもらいたいだけの、可愛いと言って欲しいだけの。なんだか、そういうのって、僕は。
「僕は本当に可愛げがないので」
そういうのって僕は好かない。可愛がって欲しいとか、気に入って欲しいとか、ニコニコと笑顔を作って、媚びるの、上手ではないからか、上手にできる人が羨ましくも妬ましくもあって。だから、その。
何を言いたかったんだっけ。
何をしたかったんだっけ。
あぁ、もう。
「ちゃんと環さんことがとても好きって、顔……とかに、出てるのか、な、と」
僕も、素直に喜びを表現できる兄のように、愛でたくなるほどの恋が醸し出す愛らしさのある拓馬さんのように。
「貴方のこと」
ちゃんと好きって、顔ができているのだろうかと。
「…………」
布団の中に潜り込んでいた僕に環さんが笑って、おでこに優しいキスをしてくれた。
「ったく」
「?」
何?
あの。
「でかい鏡」
「?」
「の前で抱いてやる」
「え? わっ」
「おいで」
おいでって、今もうすでに貴方が僕を抱き上げてしまっているでしょう?
「ちょっ」
「明日もオフなんだ、まだ寝かせるわけないだろ。お前の中が熱くてすげぇから水取りに行く間、離しただけ」
「わっ」
軽々と抱き上げて、ねぇ、あの。
「まだ、離してやらない」
「!」
そして、連れて来られたのは大きな大きな鏡の前。
「あのっ、ンンっ」
ここで、する、の? そう問いたかった唇は環さんの楽しそうに笑う唇で塞がれて。
「あっ……」
撫でられて。
「環、さんっ」
もう一度抱かれたいと、嬉しそうに肌を火照らせた。
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