10 / 17

第10話

コンビニから帰ると、絢瀬はお風呂の準備をすると言って浴室に消えた。 千隼は買ってきたばかりのつまみと酒をテーブルに出し、それから袋の中に入ったままのゴムを眺めて目をぱちぱちとわざとらしく瞬きする。 いつの間にコンドームなんて買っていたんだろうか。あのスマートに買い物かごを取っていった時くらいしか考えられないけれど。 「明日も仕事だし、さすがに本番はできないよな……。」 千隼にもしたい気持ちはある。けれど今から事を致して、夜遅くまで続けた後、片付けをして、寝て、出勤して……はあまりにも忙しい気がする。 「やっぱり……前みたいに軽いプレイしかしてあげられないな。」 明日、体が辛い状態で仕事をしないといけないのも可哀想だ。 千隼は考えて、結果本番はしないと決意して絢瀬が来るのを待った。 「千隼君、お風呂なんだけど十五分くらいで湧くと思う。」 「あ、うん。ありがとう」 「隣座っていい?」 「もちろん」 絢瀬は千隼の隣に座り、甘えても許されるだろうかと思ってほんの少しだけ擦り寄ってみる。遠慮したその行動は千隼にとっては物足りなくて、もっと自分の思うがままに行動すればいいのに、なんて思っていた。 「千隼君」 「何?あ、お酒飲む?」 「ううん。あの……ちょっとだけいい……?」 「え……」 絢瀬は言いながら千隼の股間部分にそっと触れた。 正直、体が疼いてたまらなかった。 四十年近く本能を抑え込んでいたから、パートナーができて欲が爆発しそうになっている。それをなんとか抑えたままでいようと頑張っていたけれど、傍にいるとそんな思いも決壊してしまいそうで。 「Stop(やめて)」 「ぁ……」 「勝手に触って悪い子だね」 「う、あ、の……ごめんなさい……」 千隼は絢瀬の手を股間から退かせる。 絢瀬は叱られた子供のようにシュンとして、背中を丸め『今日はダメなのかな』と落ち込んでいた。 「絢瀬」 「はい」 「Strip(脱いで)。俺に全部見せて」 「っ、はい」 けれど続けられた千隼の言葉にドキッとして、色気やムードなんて関係なく、絢瀬は服を脱ぎ捨てて煌々とライトが光る中全身を千隼に晒した。恥ずかしいけれど、それすらも気持ちいい。 「いい子だね。そのまま立っていて。俺が『いい』って言うまで動くな。わかった?」 「はい」 既に絢瀬の陰茎には熱が集まってきている。 千隼はそれを面白そうに見た後、絢瀬に近づいてキスをしてやると床に膝をつき、熱を持つそれに指を絡めた。

ともだちにシェアしよう!