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第一章・2

 それで、と実由は冷しゃぶをガツガツ貪る健斗に、訊いた。 「今回は、どうやってフラれたのさ」 「ちゃんと、落ち着いて告った。前、実由に言われた通りにさ」  健斗は食べるのをやめ、実由をじっと見つめた。 「田代くん。俺と、付き合ってくれないかな」  熱いまなざしに、実由は頬が火照る心地を覚えた。 (だけど、健斗が呼ぶ名前は僕じゃない)  胸の内を隠し、わざと軽くあしらった。 「健斗、深刻すぎ。圧が怖いよ、負担だよ」 「どうすりゃ、いいのさぁ!」 「はい、ごちそうさま。健斗、お風呂入ってサッパリしておいでよ」 「うう。ごめんな」  健斗がシャワーを使う間、実由は食器を片付け寝室の準備をした。 「今夜は、ゆっくりミントティーをいただくつもりだったんだけどな」  健斗がああでは、仕方がない。  実由は諦めて、健斗の後にバスを使った。

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