3 / 100

第一章・3

 お風呂から上がって、髪を乾かして。  実由はパジャマではなく、制服を着た。 「さ、健斗。始めようか『彼氏ごっこ』」 「う、うん」  では、と健斗は制服の実由をベッドに押し倒した。  すぐに、キスをしてくる健斗。  口づけに応じながら、実由は考えていた。 (もう、何回目だろう。この『彼氏ごっこ』も)  初めての時は、中学3年生だった。  受験を控えた秋、大切な時期に健斗は失恋した。  ひどく落ち込む健斗は、勉強も手につかない有様だ。  そんな時、実由は健斗を慰めた。  その、体で。 『健斗、僕とエッチしよ!』 『な、何で!? 実由と!?』 『このままだと、志望校落ちちゃうよ。慰めてあげるから、立ち直りなよ』 『い、いいのか?』 『いいよ。さ、しよう。彼氏ごっこ』  その時に、健斗は実由を初めて抱いた。  失恋した相手の名を、呼びながら。

ともだちにシェアしよう!