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第一章・3
お風呂から上がって、髪を乾かして。
実由はパジャマではなく、制服を着た。
「さ、健斗。始めようか『彼氏ごっこ』」
「う、うん」
では、と健斗は制服の実由をベッドに押し倒した。
すぐに、キスをしてくる健斗。
口づけに応じながら、実由は考えていた。
(もう、何回目だろう。この『彼氏ごっこ』も)
初めての時は、中学3年生だった。
受験を控えた秋、大切な時期に健斗は失恋した。
ひどく落ち込む健斗は、勉強も手につかない有様だ。
そんな時、実由は健斗を慰めた。
その、体で。
『健斗、僕とエッチしよ!』
『な、何で!? 実由と!?』
『このままだと、志望校落ちちゃうよ。慰めてあげるから、立ち直りなよ』
『い、いいのか?』
『いいよ。さ、しよう。彼氏ごっこ』
その時に、健斗は実由を初めて抱いた。
失恋した相手の名を、呼びながら。
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