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第一章・4

 そして、現在に至る。 「田代くん……。田代くん!」 「すごくイイよ。飛永くん」  前戯もそこそこに、すぐ挿れてくる健斗を受け入れながら、実由はいつも心で泣いていた。 (全然、よくなんかない。こんなこと。彼氏ごっこなんて、悲しいだけなのに)  夢中で腰を入れる健斗の背に手を回し、それでも実由はつかの間の充足を得る。 (今、この時だけは。健斗は僕を見てくれてる)  たとえ、他の誰かの代わりでも。 「ん、んぅ。あぁ、はぁッ!」  痛い。  苦しい。  でも、それすら健斗がやっているのだと思うと、愛しい。 「な、中に出していい?」 「いいよ……」  途端に、勢いよく実由の中に精が放たれた。 (健斗、相変わらず早いなぁ……) 「はぁ……」 「ふふっ」 「何だよ」 「情けない声。ホントの恋人ができたら、そんな声出したらダメだよ」  照れ笑いをし、健斗はもう一度シャワーを浴びにいってしまった。 「ホントの恋人、か」  ベッドに残された実由は、気怠くつぶやくしかなかった。

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