4 / 100
第一章・4
そして、現在に至る。
「田代くん……。田代くん!」
「すごくイイよ。飛永くん」
前戯もそこそこに、すぐ挿れてくる健斗を受け入れながら、実由はいつも心で泣いていた。
(全然、よくなんかない。こんなこと。彼氏ごっこなんて、悲しいだけなのに)
夢中で腰を入れる健斗の背に手を回し、それでも実由はつかの間の充足を得る。
(今、この時だけは。健斗は僕を見てくれてる)
たとえ、他の誰かの代わりでも。
「ん、んぅ。あぁ、はぁッ!」
痛い。
苦しい。
でも、それすら健斗がやっているのだと思うと、愛しい。
「な、中に出していい?」
「いいよ……」
途端に、勢いよく実由の中に精が放たれた。
(健斗、相変わらず早いなぁ……)
「はぁ……」
「ふふっ」
「何だよ」
「情けない声。ホントの恋人ができたら、そんな声出したらダメだよ」
照れ笑いをし、健斗はもう一度シャワーを浴びにいってしまった。
「ホントの恋人、か」
ベッドに残された実由は、気怠くつぶやくしかなかった。
ともだちにシェアしよう!