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第二章・5

 後ほどお礼をしたいから、と司は自分の名刺と実由のアドレスを交換した。  昼間に会った実由は、明るい素敵な子だった。  陽に透けると栗色になる、柔らかな髪。  色白の肌に、しなやかな体。  ホテルでランチを御馳走した後、思い切って部屋へ誘った。 「お小遣いくれるなら、いいよ」  それが、実由の返事だった。  その言葉に、やはり今時の子なんだな、とかすかに幻滅したが、一度その体を抱くと、どうでもよくなった。  お小遣いを要求するくらいだ。  慣れているんだろうな、と思ったが、その表情も肢体も、初々しい輝きに満ちていた。 「あ、やだぁ! んッ、う。こんなの、初めてぇえ!」  背を反らし、精を吐きながら甘い悲鳴を上げる。  司は、久しぶりにぞくぞくしていた。  終わった後は、司の体をそっと拭いてくれる優しさにも、感動した。 「彼氏、いるの?」  こんな気配りができるのだ。  当然、そんな関係の男がいるものだと思った。 「ううん、いない。片思い」  そう言った後、実由の目から涙がこぼれたのだ。

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