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第二章・6
「片思い。だから、お金ちょうだい。お金が欲しくて、お兄さんに抱かれたんだ、って自分に言い訳したいから」
「解った」
司は、実由の頭を抱いた。
次第に嗚咽をもらすようになった彼を撫でさすって、慰めた。
「どんな人? 片思いの相手って」
「幼馴染」
「カッコいい?」
「中の上」
「成績は?」
「上の中」
「優しい?」
「うん」
それは嘘だ、と司は思った。
優しいなら、こんないい子を放っておくはずない。
「実由くん」
「なに?」
「また、会ってくれるかな」
お小遣い、あげるから。
いいよ、との即答は、なかった。
5秒の時間が、必要だった。
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