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第三章・7

「遅い。あったのか? ペンケース」 「あ、待っててくれたんだ」  残念ながら、生徒会室にはなかった、と実由は嘘を言っていた。 「施錠されてたから、職員室まで行って鍵借りて。だから、ちょっと遅くなっちゃった」 「明日、また探そうぜ」 「うん……、ん?」  実由は、息をのんでいた。  こちらに向かって、淳が歩いてくるのだ。 「淳、さん?」  実由の耳は、熱くなった。  さきほど、秀孝と我を忘れて情事に耽っていた姿を見ているのだ。  耳だけでなく、頬まで熱くなる思いだ。 「鈴谷さん!」  何も知らない健斗だけが、嬉しそうだ。 「飛永くん、さっきは誘ってくれてありがとう。今更だけど……、どこかに寄らない?」 「よ、喜んで!」  もう、その場で羽ばたいてでもいるような、健斗の舞い上がりっぷりだ。  ただ、実由だけは眉をひそめていた。 (淳さん……、秀孝さんのこと好きなんじゃないの? 付き合ってるんじゃないの!?)  だからこそ、さっき生徒会室でエッチしてたんじゃないの? (でも……、だったら二人そろって帰るところだよね)  解んない。  二人の関係も、淳さんの今の気持ちも、解んない。 (どうして、健斗を誘ったのかな……?)  どこか嫌な予感を覚えながら、実由は健斗と淳を見送った。

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