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第四章 健斗と淳

「鈴谷さん、はい。トロピカルティーです」 「ありがとう」  校区内のカフェに、健斗と淳は来ていた。  二人のほかにも同じ高校の生徒が数名おり、こちらをチラチラ見ている。  健斗は、誇らしい気持ちでいっぱいだった。 (羨ましいだろう! 俺は今、鈴谷さんとデートしてるんだぜ!)  そんな健斗は、精いっぱい大人ぶってアイスコーヒーをブラックで飲んでいた。  苦い苦いコーヒーだったが、淳がそっと甘い言葉をかけて来た。 「今日は、誘ってくれてありがとう」 「いえ、そんな」  照れ隠しにコーヒーを口にした健斗だったが、次に淳は、そのコーヒーを噴くようなことを言ってきた。 「飛永くん……、もしかして僕のこと、好き?」 「え!?」  ななななぜそれを!?  だが、ここでうろたえるのはみっともない。  そんな健斗の脳裏に浮かんだのは、実由だった。 (実由なら、どんなアドバイスをしてくるかな) 『まずは落ち着いて。それから、素直に自分の気持ちを伝えるといいよ』  そんな声が、聞こえて来た。

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