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第四章・2
「俺、鈴谷さんのこと、好きです」
健斗は落ち着いて、素直にそう言った。
(これで玉砕しても、本望だぜ)
そんな気持ちで、返事を待った。
淳は、柔らかな微笑みを浮かべたまま、また驚くことを言ってきた。
「じゃあ、僕たち……。付き合おうか?」
「ええっ!?」
夢じゃないか!?
憧れの鈴谷さんと、恋人同士に!?
即答できないでいると、淳が首を傾げた。
「……いや?」
「え!? いえ、そんな! あんまり嬉しいから、ちょっと!」
でも、どうして。
「どうして、俺なんですか?」
「……飛永くん、文化祭のテーマ決める時に、僕の意見を強く推してくれたじゃない」
だから。
「だから、頼りになるなぁ、って思って。それで」
「う、嬉しいです。俺」
健斗は、天にも昇る心地だった。
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